王の帰還、様変わりした姿。世界評議会を代表して、彼に新しいコードネームを授けよう、さぁ、エビルアーサーよ。それは、お揃いの仮面をつけた一人の男から発せられた。アンタの帰りを、待ってたのに。傷だらけの聖銃士があげた悲痛な叫び。そして、その声を終らせたのは腹部を貫いた【エビルカリバー】だった。
貫いた銃剣型ドライバは【エビルカリバー:バースト】へ姿を変えた。扉の前、聖王は死んだのさ。悪戯に笑う仮面、咲いた白百合、生まれた堕王エビルアーサー。少し人間を侮っていたようだな。空へ離脱する竜王。そんな戦場に遅れて現れたのは、聖王へではなく、幼馴染へ、昔からの名前で呼びかける聖者だった。
ふーん、仕方ないんじゃない? 自業自得ってやつよね。だって彼ったら、我侭だしさ、自己中だし、乱暴だし、もう嫌いなところをあげたらきりがないわ。でも、もうそんな彼には会えないの? ねぇ、目を覚ましてよ、ねぇ、もっと嫌いにさせてよ。
もう、アナタは十分戦ったわ。なんて、私の口から言えるわけないじゃない。アナタにはもっと働いてもらわなきゃ困るのよ。だから、早く帰ってきて。それまで、私がアナタの代わりを務めるから。今でも、いつまでも、私はアナタだけの右腕なのよ。
アタシを誘ってくれて、ありがとね。おかげさまで外の世界を知ることも出来たし、新しい友達も出来たんだ。なのにさ、アタシ、まだ何の恩返しも出来てないよ。もっと戦いたいんだよ、もっともっと世界のこと教えてよ。だから、早く帰ってきてね。
勅令だとか、真意だとか、そんなのもうどうだっていいんだよ。わかったんだ、全ては世界の為だったってこと、自分を犠牲にしてまで新しい道を開きたかったんだろ?だけど、いつまでも輝いていてくれよ。俺はいつだって、光あっての闇なんだから。
戦うことしか知らなかった俺を拾ってくれて、生きる意味と居場所を与えてくれて感謝してます。そして、一番伝えたかったことがあります。あの子の宝物は守れなかったけど、あなたの宝物は守ることが出来ました。だから早く、帰って来て下さいね。
何をそんなに行き急いでおるのだ、死ぬにはまだ早すぎるわ。そういった役目は老い先短い私に任せればいいものを。まぁ、今更言っても仕方ないがのう。さて、スープでも作って気長に待っているとでもしようかのう。冷める前に、帰って来るのだぞ。
無事に親父の仇を討つことが出来たのは、きっと機関がオレを受け入れてくれたからなんだ。いつかはきっと、この丈の長い隊服が似合うくらいオレは大きくなる。だからさ、その時までオレ達の絶対的ボスでいてくれよ。オレもっと、大きくなるから。
私はまだ、来るべき日の約束を果たせていないんです。なのに、あなたがいないとはどうゆうことでしょう。私は、あなたがいてくれるだけで、あなたの側にいられるだけでいいんです。どうか約束を果たさせて下さい。ずっとあなたを、待っています。
やっぱり、そうゆうことだったのね。だけど、らしいっちゃ、らしいんじゃない? もう、私には何の関係もないんだけどね。だけど、責任くらいはとってくれないかしら? 私だって、それなりに戦ってあげたのよ。まぁ、期待しないでいてあげるわ。
パパ、ごめんなさい。パパからもらった宝物、壊れちゃったの。でもね、パパ、私頑張って戦ったんだよ。少しでも、パパの力になれたかな? そうだったら嬉しいな。早く帰ってきて、いっぱいいっぱい遊んでね。頑張ったご褒美だよ、絶対だからね!
あーそろそろ眠ってもいいかな? え、ダメ? 仕方ねえなぁ。でもさ、だったらそっちこそ、さっさと目を覚ましてくれないかな。いったいいつまで、目を開けた夢を見てるつもりなのさ。ほら、さっさと起きろ、お眠の眠れぬ獅子様もお怒りだぜ?
たまにはと思って本気出してやったのに、もー最悪だわ。約束通り、アンタに殺されてやるよ。でもさ、なんだよその顔。なんで泣いてんのよ。悲劇の王でも演じてるつもりかよ。男の涙なんかに、興味はないんでね。やっぱアンタのこと、大嫌いだわ。
やっぱり私の思った通りね。それに彼もきっと、気付いてたんじゃないのかしら。眠そうな顔してるくせに、まったく乱暴なんだから。でもあの時、彼が私を逃がしてくれなかったら。せめてもの恩返しよ、会いに、伝えに行ってあげるわ、無の美女に。