積み重ねた実戦データが【ソードアーム】に与えた自信、引き起こされたのは予想出来ていたはずの偶発事故。その剣先は人間へと向けられた。止まることのない攻撃欲求、満たされることのない承認欲求、感じることの出来ない達成欲求。終わりのない成長を続ける自立型ドライバは、終わりのない剣を振い続けた。
どこからともなく飛んでくる無数の矢、それは銃弓から放たれた一筋の風。測定不能の戦力を前に、成長し続ける自立型ドライバは自らの意思で姿を変えた。炎のエレメンツコアが進化させた【ソードアーム:セカンド】に芽生えた求知欲求により、目覚めた解明欲求を満たす為、その剣先を風の始まりへと向けた。
エレメンツコア、それは第四世代自立型ドライバに搭載された新たな動力源。水の起源<オリジン>により産み出された純度の高い天界<セレスティア>の水は自立型ドライバに革新をもたらした。開発の軸とされた槍と共に持って生まれた騎士道精神、自らの意思で【ランスアーム】は常界<テラスティア>を駆け巡る。
信仰心、道徳心、浪漫心、常軌を逸した騎士道は聖暦の天才の為であり、絶対の忠誠はその体が朽ちようとも、消えることはなかった。銃槍に貫かれ、一度は停止した機能類。エレメンツコアが施す自動修復、再び4つの足で立ち上がったのは、窮地におかれてもなお抗うべく進化した【ランスアーム:セカンド】だった。
新たなる自立型ドライバの開発へと、天界<セレスティア>に住まう精霊達は捕獲の対象とされた。抽出された風の力、悲鳴が生んだのは新たな起動源、風のエレメンツコア。第四世代のお披露目も兼ねた【アローアーム】により行われたデモンストレーション、3キロメートル先に用意された的は簡単に打ち抜かれた。
繰り返される射撃訓練、回を重ねるごとに伸び続ける飛距離。伸び悩み始めたのは5キロメートル手前、越えることの出来ない距離。それでも繰り返し続けられた射撃訓練、2週間後、越えられなかった5キロメートルの壁を突き抜けたのは、自らの意思で進化をした【アローアーム:セカンド】の放った矢だった。
崩れ落ちた瓦礫の山を、悲劇の跡地を更地へと均す自立型ドライバ。光ある未来への第一歩。だけど、いくら瓦礫と化そうとも、それは皆が生まれ育った家、青春の笑顔をくれた校舎、生きる厳しさを教えてくれた会社、沢山の思い出が詰まった、大切な瓦礫の山。その全てを、表情もなく【アクスアーム】は粉砕した。
ただ業務的に、振り下ろされる大きな斧、そこに何の感情もなかった。第四世代自立型ドライバ最大の欠陥を呼び起こしたのは、崩れ去った故郷を前に、泣き止んだばかりの小さな少女が振り回した銃斧。【アクスアーム:セカンド】への進化、それは受け止めきれない想いの重さに耐えるため、初めて見せた自らの意思。
より実戦向きに開発された第四世代の自立型ドライバは全ての戦いを記録し、動力源とされるエレメンツコアに学習させた。鋭利な鎌を軸に開発された【サイズアーム】にとって、その鎌で刈り取った命の数はデータでしかなく、より豊富なデータを得るために、人間も精霊も悪魔も関係なく、命を刈り取り続けた。
刈り取った多くの命、蓄積されたデータ、エレメンツコアは自らを新たな姿、【サイズアーム:セカンド】へと進化させた。自立進化は第四世代の最大の特徴であり、最大の欠陥。意思を持ち、学び、そして成長するドライバ。刈り取られる命、開かれた扉により進化しすぎた科学は、悪魔と見分けがつかなくなっていた。
その両腕のドリルは地に穴を開ける為に、それとも分厚い壁を貫く為に、まさか天へと突き上げる為では、様々な憶測が生まれた無のエレメンツコアを動力源にと開発された自立型ドライバ【ドリルアーム】。無の力を動力源とした第三世代の自立型ドライバと同様に、開発経緯、行動理由、その全ては伏せられていた。
安易に生まれた憶測、その全てが答えだった。交わった3つの世界、その全てに、穴を開け、貫き、突き上げる。突如として開始された破壊行動と共に報告された姿、それは既に自ら【ドリルアーム:セカンド】へと進化を遂げた後の姿。そう、第四世代の開発された本当の理由が、求めてもいない形で解き明かされた。