北館に突入したライルを待ち伏せていた無数の教団員。さぁ、派手にいこうぜ。大剣を手にした青年は、一人、五人、十人と切り捨てていく。面倒くせぇ、いっぺんに掛かって来い。そんな叫び声に呼応するかの様に姿を見せたのは、四人の男女だった。
悪いけど、俺は光ってるヤツが大嫌いなんだ。ライルの大剣が薙ぎ払う光通者と光波神。俺達にも守りたい場所がある。そんなライルに立ち向かう炎通者と闇通者。だったら、守ってみせろって。決着は、一瞬にしてついた。甘ったれたこと言ってんな。
本館には行かせねぇよ。無数の銃声が鳴り響く。犬っころはお手でもしてろ。だが、差し出した左手には既に力が入っていなかった。勝てる戦いには興味ねぇが、これも俺の役目だ。振られ続ける尻尾は、興奮の表れ。始めようか、レッツ、ハッピー。
気付いてんだろ。ライルは問いかける。あぁ、全部な。北魔王の口から語られる、教団の今。だから俺は、守るんだよ、あいつが帰って来られるように。だったら、迎えに行けっての。そして、そんな戦いを一匹の竜が引き裂いた。ねぇ、僕も混ぜてよ。
こんなの、聞いてねーよ。あはは。左足に突き刺さる極楽竜の槍。勝ちだ。右足を打ち抜いた北魔王の弾丸。オレ、格好悪ぃ。崩れ落ちるライル。だが、そんな傷だらけの体を支えたのは火竜を連れた竜だった。人間にしては、なかなかやるみたいだな。
退避した極楽竜と、逃げることのない北魔王。その覚悟に、恥じぬ最後をくれてやろう。燃え盛る炎。これが、オマエの覚悟なんだな。ライルの問いに、ニヤリと返した炎。そして、力なき聖剣が切り裂く北魔王の信念。尻尾振る相手を、間違えんな。