物騒なもん、持ち出してんなよ。竜神が会いに向ったのは、刀型ドライバ【リヴァイアサン】を手にしたリヴィアだった。この力は、僕が授かったものだから。怒りの矛先は、神々の悪戯へ。だったら、どうするんだ。閉ざした瞳、微かな沈黙。僕が、斬り捨てるだけだよ。竜界でもまた、何かが動き出そうとしていた。
古竜衆の一人、流水竜リヴィアは刀に閉じ込められた力を解放しようとしていた。彼らが竜を刃に変えるなら、僕は刃を竜へと変える。竜でありながら、竜を従えた青年は、取り残された上位なる世界を見つめていた。だったら、お前はどっちにつくんだ。どっちでもいいよ、僕は彼を斬れるのなら、それだけでいいから。
神と竜が争っていたのは遥か昔、まさに神話の時代と呼ばれた時代だった。共に優れた知能、文明、そして力を持った異なる種族だからこそ、起きてしまった争い。どちらが優れているか、など、そんな答えを求めた者は、どこにも存在していなかった。
共に認め合い、そして競い合う関係、そんな両者を引き裂いたのは、予期せぬ例外の存在だった。僕は彼を、正しいとは思わない。だけど、間違っているとも思わない。曖昧な存在だからこそ、答えを求め、そして争いは起きた。だから僕は、許せない。
争いはいつも、予期せぬきっかけで起きるのが世界の理だった。勝つか、負けるか、その勝敗にこだわるのは、決まって敗者だったからだ。僕は、勝ちたいんじゃない、負けたくないんだ。求めたのは、ありきたりな平穏。誰も、血は流したくないよ。
一つの争いは幕を閉じた。だけどね、僕は許すことが出来ないんだよ。それは竜への侮辱。僕らは、彼らに負けた。勝つ必要はなかった、だけど、負けたんだ。敗者の烙印に笑顔を歪めた青年。だからね、今度こそ、負けたくはない。新たな幕は上がる。
兄さんは、どうするつもりなの。問いかける流水竜。俺は、楽しくやらせてもらう。答えた竜神。彼らのことが、気になるんだね。問い詰める流水竜。嫉妬なら、女にしてろよ。はぐらかす竜神。そして二人は道を分かち、それぞれの道を歩き始めた。