やっぱり、あいつは最高幹部に相応しくなかった。ベオウルフが腰をかけたのは空いた椅子。火竜はね、神話の時代から、始末される運命にあるんだよ。財宝ではなく、家族を守るだなんて、竜にしては愚かな行為だ。そこで姿を現した話し相手。だからね、キミを推薦したんだ。その言葉には、未来が暗示されていた。
世界評議会最高幹部のベオウルフに与えられた異名、屠竜者。それは、竜を殺す者の証明。だが、彼は人でありながらも、竜の血を引いていた。その手にかけた数多の同胞、そして手に入れた名誉と地位。次にキミは、何を欲しがるのかな。昔にね、狩り忘れた首があるんですよ。そこには、歪な密約が存在していた。
かつて、評議会には道化の最高幹部が存在していた。そんな彼が評議会を裏切り、罪人となった後に最高幹部の席に就いたのもまた、竜の血を引く者だった。新しく席に就いた男に、竜殺しの異名が与えられていたのは、偶然だったのだろうか。