かつて、世界評議会には聖暦の天才と呼ばれる六人の天才が所属していた。そして、新生された世界評議会には、聖暦の画伯と呼ばれる六人の天才が所属していた。レオナルドは筆型ドライバ【ヴェロッキオ】を無我夢中に振るう。それは世界の為か、それとも自分の為か。描かれた絵、その力に全てが込められていた。
レオナルドの元に届いたのは、世界評議会への推薦状と、神への推薦状だった。妖精が神になる、それは妖精ならば誰しもが知る禁忌であった。かつて、とある妖精が神になったことで、天界は滅びかけた。その過去を知りながらも、彼は神となり、そして炎画伯を名乗り、描き続ける。見たことのない絵を、神の為に。
魔界の片隅、マルクは自由に絵を描いていた。そんな彼の才能に目をつけ、筆型ドライバ【ベラ】を贈ったのは新生世界評議会の最高幹部の一人。君に未来を描いてもらいたいんだ。そうして、聖暦の画伯として、世界評議会に招かれ、ひたすら絵を描く。そう、約束された未来が終わった先の、新たな未来を描いていた。
未来を生み出す為に、前を向く必要はないんだよ。優しい声が水画伯マルクを支えていた。未来は、過去の積み重ねでしかないんだから。そう、過去が、未来を作るんだ。そして彼は、ひたすら過去を探し続け、やっと辿り着いたのは、かつての聖戦と呼ばれた一つの争いだった。そっか、僕はこの未来を描けば良いんだ。
誰かに銃で打ち抜かれた。フィンセントは、それが誰かわかっていた。今度は、私が都合の良い犠牲なんだ。全ては精霊議会による決定事項。そして天界を追放され、常界で療養をしていた彼女の元に、一通の推薦状が届けられた。私は、絶対に許すことは出来ない。その想いは、筆型ドライバ【アルル】により描かれる。
かつての天界と神の取引に関係していた一人の男。それは綴られた妖精でありながら、神の力を手に入れた堕精王。そして、王でありながらも、幽閉されていた。彼のせいで、私は。風画伯フィンセントは憎むべき対象を見つけた。だったら、彼のいない未来を、私が描いてみせます。それが新生世界評議会の狙いだった。
あら嫌だ、まったく。そう、クロードは知っていた。堕魔王が目覚めたことを。せっかく、平和が訪れていたっていうのに。世界評議会への推薦状と、手にした筆型ドライバ【ルァーブル】。これで私に、彼を塗り潰せっていうことなのかしら。そう、彼女は知っていたのだ。かつての聖戦と、争った二人の王の存在を。
例え私達が描いたとしても、目覚めてしまった彼らを止めることは出来ないと思うわ。光画伯クロードは落ち着いていた。あぁ、君達だけじゃないよ。そう声をかけたのは評議会最高幹部の男。あくまでも、俺達は周りを彩るんだ。それなら、それでいいわ。あぁ、役者は揃った。彼らが盛大に暴れる舞台を、描きだそう。
私の才能を欲するのであれば、それ相応の対価を用意したまえ。サルバドールが求めたのは名声ではなく、富だった。貴様らのことは多少知っているぞ、私の友人も、かつては属していたみたいだからな。類は友を呼ぶとは、このことだろうか。こうして、彼は多額の報酬と引き換えに、筆型ドライバ【ガラ】を手にした。
世界評議会とは、何を目的としているのかね。それは素朴な疑問だった。今も昔も、世界の常化だよ。そう説明したのは、闇画伯サルバドールを招き入れた最高幹部の一人。それでこの有様か。だから、あなたに声をかけたんだ。ふむ、君はなかなか話が出来る人みたいだな。彼は気付かずに、掌で転がされるのだった。
君は、戦争が嫌いだったよね。パブロの元を訪ねた評議会最高幹部は話し始めた。君も魔界にいるのなら、知っているだろう。それはかつての聖戦と、二人の王の存在。役者はね、揃ってしまったみたいなんだよ。だから君に、止めてもらいたいんだ。筆型ドライバ【パロマ】を手渡され、そのまま手を引かれたのだった。
女王達は、知っているですか。無画伯パブロは問う。知っているか、いないかの問題じゃない。全てを知ったうえで、どう動くかだ。だったら、私は描くです。結末は思惑通りだった。全ては世界の常化の為に。だが、その過程に、存在する犠牲。では、その犠牲は誰なのか。それは、筆先の行方でしかないのだった。