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氷水研アモルフォス、ここでは悪しき水の研究が行われていた。繰り返される水の力での実験。人々の暮らしを豊かにする為でもなく、開かれた扉へ近づく為でもなく、さらにその先のとある目的の為に、この施設は存在し、そして研究がされていた。
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あぁ、また来てしまった。涼しいラウンジを無事に抜け、二等悪魔への昇格を果たした氷刑者は、次に凍える氷水研に迷い込んでいた。溢した白い吐息、かじかむ手で刃を握りしめ、震える唇を噛みしめる。少しにじんだ血に、次こそはと誓うのだった。
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被験体105、左腕に貼られた番号。いったいこの施設には、何体の被験体が用意されているのだろうか。力を抜きとられ、そして使い捨てにされる被験体。利用される側と、利用する側、そのどちらかしか、この施設には存在していなかった。
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起動実験レポートAに記載されていたのは水の力により活動をする自立型ドライバ達の開発経緯から、経過報告まで、その全てだった。走り書きのそのレポートの最後、それでも僕は初恋を追い求めるよ、そんな一言が添えられていた。
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初恋に目覚めた天才は初恋を追い求めた。言葉を越えた交流の先で見つけた初恋。いつか恋は、愛に変わり、そして終わりを迎える。そう、天才の初恋はいつか、純愛へと変わる。終わりを迎えるまでに、あと何人が犠牲となるのだろうか。