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常界<テラスティア>の外れ、立ち入り禁止区域に指定された場所には六つの研究所が立ち並んでいた。幾重にも配置された鉄壁を越えた先、まず最初に姿を見せたのは火焔研フロギストン。一度は廃棄されたはずの研究所に、悪しき炎は灯っていた。
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燃え上がる炎に引き寄せられて、昇格試験のことなど忘れてしまった炎刑者の姿が。悪しき炎や光を求め、悪魔達は幾重の鉄壁を突破していた。止まることのない赤への好奇心。燃え上がる赤こそ至高の色だと、炎刑者は満面の笑みを浮かべていた。
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被験体056、左腕に貼られた番号。新たな自立型ドライバ開発の為に、多くの妖精がここへと連れられてきていた。より純度の高い炎は、悪しき炎へと変換される。そして、そんな悪しき炎すらも、自分の目的の為に利用しようとしていた天才がいた。
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悪しき炎が囚われた監獄、そこには天才の飽くなき探究心も囚われていた。起動実験レポートに記載されていたのは、新たな炎の力の活路。世界評議会へ提出する直前、天才は最後の1ページを引きちぎり、そして書き足した偽りのレポートを提出した。
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研究所の最深部、自らの死を偽った天才は研究を続けていた。そして、偽りのレポートを提出してまで成し遂げたかった目的、開発された第五世代自律兵器型ドライバに込めた願い。炎を灯した少年の元へ急げ、それが未完成品への唯一の命令だった。