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ようこそ、ラウンジ:マーキュリーへ。微かに聞こえる水の流れる音、空調の効いた涼しい空間は、火照った体を心地よく冷やした。だけど、微かにしか聞こえなかったはずの水の音が大きくなった時には、目の前に無限の水が広がる寸前だった。
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無限の水を退けた先、聞こえてきたのは無数の銃声。だけど、不思議と火薬の匂いはしなかった。音の正体を確かめようと見渡す周囲。見つけた正体、それは大きな水鉄砲を構えた、悪戯好きな水遊び妖精と、喧嘩をしている火の妖精の姿だった。
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仲裁できた喧嘩、だけどもう、遅かった。ラウンジに響き渡る無数の機械音。それは二足ではなく、四足の歩行足。しかれ始めた警戒態勢、近づく二つの四足歩行音、そして、その奥から更に聞こえてきたのは、火花を散らす新たな歩行音だった。
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ラウンジで休息していたのは、魔物だけじゃなかった。清らかな乙女もまた、涼しさの誘惑にマーキュリーへ。偶然にも流れ着いた来訪者に、戸惑うよりも早くとった攻撃態勢。制止する炎の乙女の声に耳も貸さず、彼女は流れに身を任せていた。
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本当は暖かい場所へ行きたかった、そんな思いも虚しく、涼しいラウンジへと辿り着いてしまった氷の悪魔は嘆いていた。そうだ、暖かくなるには体を動かせばいい、ただそれだけの理由で、予期せぬ来訪者へと外せない手袋で握った氷の刃を向けた。