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暴風吹き荒れるのは第三の監獄、ビリジアン。立っているのがやっとなほどの強い風が吹きつけ、その風に乗り届けられるのは収監予定にない悪意に満ちた者達。魔界の風も例外ではなく、風に揺らされ、気持ち良さそうに漂っていた。
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脱獄者には容赦のない向かい風を吹かせる風の自立型ドライバ。誰しもが一度は試みる脱獄も、その向かい風を一度でも味わうと、二度と脱獄を企てなくなると言われる程の鉄壁の警備をみせるが、それは風力の最大出力実験でしかなかった。
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暴風の監獄の中庭、わずかに覗いた空、そんな頭のすぐ上の狭い空を飛び交っていたのは監獄の緑竜。吹き荒れる風と遊び、悪戯に囚人をついばみ去る。まるでそれは当たり前の認められた行為かのようで、今更疑問を唱える者はいなかった。
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暴風が運んだ噂は遠く離れた天界<セレスティア>にまで届けられた。非日常が日常と化した監獄へと訪れた風の妖精は、傷ついた囚人達へと癒しを届ける。あざといほどに潤わせたその弱気な瞳は、傷ついた囚人の心を掴み、そして離さなかった。
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第三監獄の出口が開かれた。吹き荒れる暴風を抜けた先に出会えたのは、風ひとつない空。安心をし、胸を撫で下ろした直後、突然吹き荒れる空。待ち構えていたのは風の成竜。大空の覇者の大きな羽ばたきが、監獄最期の向かい風を吹かせた。