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世界評議会の職員でアーサーを知らない者はいなくなっていた。査察局勤めのリオもアーサーをよく知る存在であり、アーサーをよく思わない存在だった。そんなリオに下されたのが私設特務機関への異動辞令。その裏側には大いなる力が働いていた。
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誰がどのような意図でリオを異動させたのか。その理由など、アーサーもリオも気にはしていなかった。アーサーはリオを受け入れ、そしてリオは自身をアーサーへ委ねた。与えられたコードネーム、モルドレッド。こうして、ふたりの関係は生まれた。
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アーサーと行動を共にするようになり、モルドレッドの考えに変化が生じていた。いままでアーサーという存在に抱いていた理想主義という虚像。そう、アーサーは理想を掲げながら現実を見つめる。その中で常に理想へ近づく選択をしていたのだった。
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機関の者だけが知っているアーサーの姿が存在していた。コードネームを与えながらも、ときとしてニックネームで呼ぶことがある。それは、アーサーなりの愛情表現なのだろう。そして、モルドレッドはそんなアーサーを微笑ましくも思うのだった。
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最後の晩餐、誰かに参加を強制されたわけでもなく、自分の席についていたモルドレッド。だが、それでもモルドレッドはアーサーへ疑心を募らせていた。そう、彼は死ぬつもりでいるんじゃないかと、死に場所を決めたのではないかという疑心だった。