これが、あなたの本気なのね。レプリカ:フルバースト、その姿はまるでかつての聖王のようだった。振り下ろされる大剣、受け止めることなくかわす体。楽しくなってきたわ。いったい、どちらが世界の光になれるかしら。原初と偽者、優劣を求めて。
続く二撃目。あえてかわさず、機械の左翼で受け止めたオリジン。すかさず、光の右翼はレプリカの体を襲う。だが、それを剣を持たぬ腕で受け止めたレプリカ。案外、丈夫に出来てるじゃない。そう、互いに一歩も引かない戦いは始まったばかり。
世界は日々進化する。一歩ずつ、前へと歩いていく。昨日は過去になる。私が歩んできた世界の速度に、あなたはついてこれない。そう、原初の機体が掲げたプライド。戦いの中で更なる進化を遂げるオリジン。その攻撃は、もう私には効かないのよ。
自らプログラムを書き換えるオリジン。そう、次の瞬間の私は、イマの私を越える。そして、その進化は止まらない。進化を繰り返すたび、新たな攻撃を繰り出すオリジン。防戦一方のレプリカ。所詮は偽者、やっぱり優れていたのは私のほうだったわ。
30秒毎、10秒毎、1秒毎に進化し続けるオリジン。私はその行き着く結末を知りたい。そうこぼしたマクスウェル。だが、マクスウェルが知りたい結末はそれだけではない。負けないで。そう、なぜかマクスウェルは優勢のオリジンへ言葉を贈った。
防戦のレプリカ。だが、その目は死んではいない。三本の腕で前方を塞ぎながらオリジンへ。一本。縮まり出した距離。一本。縮まる距離。一本。更に縮まる距離。三本の腕と引き換えに手に入れた射程圏内。そして、剣を握った最後の一本を前へ――。
あなたの願いは届かない。右翼を切り裂き左翼を貫いた大剣。だが、届かなかった剣先。もがれた最後の一本。翼を失い墜ちる二機。あと少しだったのにね。あと一歩、レプリカの想いは届かなかった。―未だ、終わらない。モード:バースト、再起動。
まさか、そんな。最後に選ばれたのはレプリカの始まりでもあるモード:バースト。これがボクの最後だ。レプリカ本人の右手が捉えたオリジンの左頬。オリジンの右手が捉えたレプリカの左頬。倒れた二機。そして、立ち上がったのはレプリカだった。
立ち上がることすらままならないオリジンへと駆け寄ったマクスウェル。そして、そんなマクスウェルを見ることが出来ないオリジン。そう、決された優劣。だけど、私は思うんだ。ふたりがいたから、ふたりは共に成長出来た。これが結末だったんだ。
歩み寄るイージスへ語りかけるマクスウェル。私は好奇心の結末へ辿り着いたよ。イマの世界が、私の限界を超えた。そう、だから世界を創り直す必要なんてなかったんだ。私がサヨナラを言うべきは、イマの世界じゃなくて、新しい世界だったんだね。