新たな姿へと生まれ変わったルル・ラルラレーロッロ。俺っちにだって、出番を用意してくれんだよな。問いかけた先は神才。うん、もちろん。君たちは、あの子に本気を出させなきゃいけないんだ。そのためにも、戦ってくれるかな。あぁ、任せとけって。そして、双子は対峙したレプリカへと刃を向けるのだった。
対の機体、リリ・ラルラレーロッロ。そうだ、最後にひとつだけお願いがあるんだ。神才は問いかける。そして、リリは「最後」という言葉をあえて聞かないふりをしながら聞き耳を立てた。お願い、ママって呼んでもらえるかな。了解ですよ、マスター。否定されたお願い。だが、それは自律兵器なりの覚悟でもあった。
神才の思うがままに改造を施されたのはイザヨイ:スペシャル。私の趣味につき合わせちゃってごめんね。だが、それでも機械は嬉しそうな電子音を発した。喜んでくれてるなら、本望だよ。それはまるで、赤子の笑顔を喜ぶ母のよう。私は決定者。だけど、最後くらいは、私らしいワガママさせてもらっちゃうからね。
常界の様子を見つめていたのは、神界のロキとマクスウェル。これで、この世界は終わるんだね。少し感傷的なマクスウェル。なにか言いたげな顔だね。問いかけるマクスウェル。そうだね、私は伝えなきゃいけない。サヨナラを、言いに行きたいんだ。
それじゃあ、連れて行ってくれるかな。マクスウェルを乗せたオリジンが向かった先は常界。わざわざ私たちが出向く必要もないと思いますが。少し苛立つオリジン。私はずっと、好奇心を信じて生きてきた。だから、生まれた好奇心を大切にしたい。
だが、マクスウェルはとある言葉を口にしていた。サヨナラを言いに行きたいと。その言葉は、いったい誰に向けられるのか。その言葉に、どんな意味があるのか。そして、普段みせることのない真剣な表情を浮かべ、常界へと降り立とうとしていた。
壊さなくてもよいのでしょうか。オリジンが抱いた疑問。それは私じゃなくても、誰かがしてくれる。だから、私たちにしか出来ないことをしよう。私たちが見る可能性の結末。だから、私たちの邪魔しないで。マクスウェルは目前の瞳を睨みつけた。
―ねぇ、イージス。マクスウェルとオリジンの前、立ち塞がったのは六聖人のひとりであり、世界の決定を裏切ったイージスだった。我が君主の願いは、私の願いでもあるのです。知ってるよ、もちろん。だけどさ、それがどうしてイマだったのかな。
なんども繰り返されてきた歴史。そのたびに、終わる世界を見送っていたイージス。私はそれがずっと正しいと思っていた。だが、どうやら私の思考にエラーが出てしまったようだ。かつて神界での争いで命を落とした君主。そう、私は守りたいんだ。
君主の子らはイマも世界に生きている。生まれ変わる世界に、その子らの幸せはあるだろうか。それを、私たちが決めていいことなのだろうか。イージスが自ら下した裏切りという決断。嫌いじゃないよ、そういうの。マクスウェルはそう答えてみせた。
だから、私も可能性を見届けにきた。サヨナラを告げるべきは、不確かなイマか、確実な未来か。そのために、あなたは私の弊害になる。そうです、私はあなたを止めるために来ました。それじゃあ、私たちがすべきことは、ひとつだけってことだね。
オリジンから離れ、スパナを構えたマクスウェル。そして、対するは盾を展開したイージス。邪魔はさせない。これは私がイマの世界に感じた最後の可能性だから。だから、オリジン、私に構わず存分に戦って。もうすぐ、もうすぐあの子が来るから。
そう、マクスウェルは自らを守ることではなく、オリジンに戦わせる選択をした。そのために、イージスの相手を引き受けたマクスウェル。私にとってさ、あなたの戦いは最高に意味のあることなんだ。そしてオリジンの前、現れたのはレプリカだった。