15年の果て、夕日に溶けたふたり。一瞬の隙に逃亡を図ったアツヨシ。だが、今年こそはと再び赴いた約束の桜の下。遠くからでも香る甘さ。待ち焦がれていた女。いざ、真剣勝負。引き抜いた刀。そんな刃物に臆することなく走りよる少女。そして転ぶ。決まったダイレクトアタック。こうしてふたりは結ばれました。
聖魔王の指示の下、水魔獣士を常界へと案内した水波卿。それにしても長年の潜入任務お疲れさま。で、巡り巡って、また彼女の下に派遣されるわけだね。かつての教祖であり、現聖常王である者の下に就いていたのは聖魔王直々の命令。まぁ、キミが一番の適任だね。そんなこと、言われなくても誰よりわかってるさ。
キミという絶対的な王様が生まれる。そして、その王様が悪意に包まれることにより混乱が生まれる。そう、ボクは楽しかったよ。だって、混乱に乗じて、キミを手に入れることが出来たんだから。そう、ボクは世界の決定に背いてなんかいなかった。
ボクはもっとキミを見ていたかった。それはボクという存在の肯定よりも、強い想いになったんだ。だからもう、キミに縋られなくてもいい。あぁ、いつからか、ボクがキミに縋っていたみたいだ。そして、アーサーは聖神として生きる道を選択した。
ねぇ、アーサー。キミはボクが思っていた以上に成長したね。だけど、ちょっとやり過ぎちゃったみたいだ。これからキミがとる選択しだいで、ボクが世界の決定に背いたことになるみたいなんだ。それがいったい、なにを意味しているかわかるかな。
でも、ボクは後悔してないよ。それこそがボクの存在理由さ。きっと、世界は混乱する。それは常界だけじゃなく、神界も。アーサー、キミはいったいどんな役割を担うつもりなんだい。ボクはそれが知りたい。それさえ知ることが出来ればいいんだ。
これでボクの話はお終いさ。だから、キミの話を聞かせてよ。ううん、違ったかな。そうさ、キミの物語を見せてよ。一番の特等席で。だから、安心してね。いつだってボクはキミのすぐ側にいるんだから。ずっと、いつまでも、きっと、終わる刻も―。