始まりが存在するから、終わりが存在するのか。終わりが存在するから、始まりが存在するのか。それは表裏一体の存在。私の役目は、イマの世界の終わりを観測すること。胸の奥底へ抑え込む想い。どうか、幸せな道を。統合世界に下された世界の決定。少し早いけど、オヤスミナサイ。さぁ、終わる世界へ。
お時間ですよ。細い足へとはかせた白い靴下。これからが楽しみですね。洗い立ての身体に羽織らせたのは白いシャツ。そして、その白を包み込むように、黒い靴と黒いジャケットを着せた執拗竜ティルソン。やっぱり、あなたって方は悪趣味ですね。私はそんなあなたを愛おしく思います。差し出された右手に口付けを。
人って生き物はね、いつだって誰かに従いたいんだよ。潜在的な拘束願望。そこには選択が生じなければ、責任も生じることはない。そう、だから僕が使ってあげようと思うんだ。名も無き教祖は再び砂上の楼閣へと。だけど、勘違いしないでね。僕は君に従うわけじゃないから。僕は僕、誰にも従うことのない神様さ。
そう、僕は奇跡やドラマを必要としていた。それは、その先の未来を見据えて。だけど、いまはもう、そんな陳腐な涙は必要ないんだ。それは、その先の未来を見捨てて。ありがとう、これが世界の決定なんだね。そうさ、もう考える必要はないんだ、明日とか、明後日とか、未来とか、幸せとか、悲しみとか、イラナイ。
だけど、ありがとう。僕がこうして、もう一度立ち上げることが出来たのは君のおかげでもあるんだよ。そう、初めからこうしていればよかったんだよ。あのときの争いのように、僕は裏切る存在なんだ。いくつもの刻を遡り、辿りついたのは神竜戦争の終結日。僕は僕で、あの頃の続きを始めさせてもらうとしようか。
彼女が偽りの王への道を進むのであれば、僕は偽りの神への道を進むだけさ。そう、だから彼女は、彼女たちは、僕に、僕たちに縋るしかないんだから。だけど、これは僕たちだけの密約さ。さぁ、だから素顔を見せてごらんよ。外されたのは左半分の仮面。とても綺麗な瞳をしているじゃないか、まるで、――のような。
この不完全な世界は、ありもしない完全を求めることしか出来ない。だから、私が偽り抜いてみせよう。私は偽り続けることしか出来ない偶像なのだから。切り落とした髪は覚悟の証。これが、私達の選んだ償いの道だ。しばらくの間不在だった常界の玉座。そこには、偽りの王、聖常王クロウリーが鎮座していた。