燃え尽きた炎のあと、再び燃え上がる炎。始まったヒメヅルとサニィの戦い。どうしてかな、初めてな気がしないよ。それはヒメヅルの刃の一撃を受けての言葉。不思議だね、私も初めてな気がしないよ。同時にヒメヅルもサニィの一撃を受けていた。
ふたりを止めなくていいのか。フレイムタンは立ち上がることの出来ないふたりへと問いかける。だってほら、あの顔を見てごらん。アカズキンが見つめるのは、切れた唇から血を流すヒメヅル。ほら、あの子もさ。サニィもまた血で前髪を染めていた。
私が愛する人と生きる世界に、あなた達は必要ないの。ムラサメの水を滴らせた刃がレイニィを襲う。そう、私はふたりきりで過ごせる世界を求めてるの。姉妹という絆を越えた愛。だから、死んでもらえるかしら。だが、レイニィは刃を弾いてみせた。
私の愛する人はみんな、もう二度と会えなくなりました。レイニィの胸を締め付ける旧友の声。みんな、人間への愛を知ってしまったせいで二度と会えなくなりました。だから私は、信じません。勢いを増した大粒の雨は、レイニィの頬を濡らしていた。
こっちからいくぜ、ベイベ。戦場に吹き荒れる風。ずいぶんご機嫌な風だな、笑ってやがるぜ。刀を構えるヤスツナ。なに言ってんだ、今日の風は泣いてるぜ、ベイベ。そして、同行していたウィンドベクターはふたりの会話を理解することを止めた。
風の泣き声が聞こえないなんて、漢失格だぜ、ベイベ。泣き声のような風を放つウィンディ。そんな風を踊るように斬り捨てるヤスツナ。あぁ、俺に斬られて笑ってやがる。理解不能の戦い。だが、それは確かに世界の行く末を握る戦いのひとつだった。
シャイニィを襲うライキリの刃。良い太刀筋だ、うちの怠け者に見習わせたいね。無駄口は聞きたくありません。もうひとつの刀を引き抜くライキリ。いい気迫だ、それに比べてうちの怠け者は。くしゅん。その頃、イッテツは部屋でくつろいでいた。
だが、まだまだ小僧だな。振り回される杖と、振り回される体。大丈夫、君はひとりじゃないんだよ。ライキリの隣には、銃を構えたライトイーグルがいた。だったら、俺も混ぜてもらおうか。シャイニィの隣には、刀を構えたライトブレードがいた。
死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね。クラウディがかざした杖は再び夜を呼んだ。殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す。ムラマサが引き抜いた刀は妖気を死霊を呼び覚ました。さぁ、殺し合いを始めましょう。
闇に包まれた戦場で行われていたのは、互いに守りを捨てた攻戦だった。あんたなんか、片手で十分よ。ぶら下がるクラウディの片腕。それなら私は、片足で十分ね。引きずられるムラマサの片足。そこに存在していたのは、純粋な殺し合いだった。
だったら、さっさと斬られて退場しろよ。ナキリは鞘に手を添え、そして一直線に足を運ぶ。そして引き抜かれた刀。だが、その刃を弾いたのは杖ではなく、もうひとつの刀だった。ずいぶんと、大きくなったじゃねぇか。ご無沙汰してました、師匠。
それがテメェの見つけた誠か。ナキリは刀を大きく振り払う。私は気づいてしまったんです。ムミョウガタナが立て直す体勢。だから私は、もうひとつの世界を見てみたい。勝てるはずのない相手を前に、それでも名も無き刃は輝きを放つのだった。