あれはなにかの間違いなの。ぶつかる炎。今回だって、きっとなにかの間違いなの。だが、盟友であるシラユキを失ったアカズキンの耳には届かない。言葉でわかりあえないのなら、こうする以外に他はないってことね。ヘレネは更なる炎を燃やした。
これでもう、最後にしましょう。永遠の日常を求めたアカズキンと、ただもう一度やり直したいヘレネ。そんなふたりの間に割って入った二等悪魔。だったら、あんたらが争う必要はないだろ。その日常に、真っ赤に燃える友達がいたら楽しそうじゃん。
甘いよ。鳴り響く冷たい銃声。打ち抜かれたオノノコマチ。解けた拘束。そして次に向けられた銃口。どうしてそこにいるか、理由を教えてもらおうか。アクアプスの冷たい銃口は、親友だったはずの男へ、冷たい視線と共に向けられていた。
俺はただ、自分の瞳で確かめたかっただけさ。アイスブランドが追っていた罪人と、その罪人の結末。俺が信じていた道は否定された。だから反対の世界を見たかっただけさ。そして構えた氷の刃。それが理由なら、僕が君を撃つ理由に値するみたいだ。
イバラの問いに深い意味があったのか、それは本人にしかわからない。だが、ヨウキヒの思考を巡らせるのには十分だった。日が暮れるまで遊び、疲れ、そして、ただ眠る。思い出していたのは、いつも4人ひとつの布団で夢を見ていた幼き日だった。
ありがと、あなたのおかげで思い出せた。ヨウキヒが纏う風向きが変わる。私はもう一度、取り戻したかった。そこにあったのは、ひとりの妖精として個人的な感情。だから私は、この戦いを終わらせて、そしてもう一度みんなで眠れる日を取り戻す。
ひとりが膝をつけば、もうひとりも膝をつく。ひとりが血を流せば、もうひとりも血を流す。いい勝負じゃない。だけど、これじゃよくて相打ちってところかな。それじゃ、そろそろ。光神は神刃を取り出し、そして、狙いを定めたのだった。
それは一瞬だった。カタリナが背後に感じた力。神刃が光神の手を離れた直後、神刃は体を貫いていた。やっぱり、それがあんた達のやり方なのね。崩れ落ちる両膝。神刃はカタリナの背中を追い越し、そしてシンデレラの体を貫いていたのだった。
ねぇ、知ってるかしら。守るべきものを持つ者ほど、弱いのよ。それは大切な誰かを失くした者の主張。知らないのかしら、守るべきものを持つ者ほど、強いのよ。それは誰かの帰りを待つ者の主張。だから私は倒れない。クレオパトラの瞳に光が宿る。
お願い、最後に力を貸してくれるかしら。カグヤの背後から飛び出してきた7つの小さな影。あたり一面に撒き散らされる毒。だが、その毒が奪うのはふたりの体温。さぁ、共にここで散りましょう。それで帰れる場所が守れるなら、私は構わない。