炎と炎は混ざり合い、空を茜色に染める。そうよ、あの日の出会いはこんな茜色の夕暮れだった。それはまだかつての聖戦が始まる前の出来事。ヘレネが語りかけるあの日の出会い。だから、それがどうしたっていうの。アカズキンの炎はより燃え盛る。
あのときだって、私達の日常を奪ったのはあなた達じゃない。かつての聖戦で侵略された魔界。そして、アカズキンの日常は奪われた。あのとき、私はすべてを失った。私の日常も、あなたと出会ったあの街も。だから私は、永遠の日常を取り戻すだけ。
キミたちは本当に浅はかだよ。アリスの猛攻に耐える一方のオノノコマチ。だが、そんな戦況を変える一太刀。なんで、キミがそこにいるのかな。体勢を崩したアリス。一瞬の隙を突いた小さな一太刀。それはアイスブランドの裏切りの一太刀だった。
さっさと殺しなさいよ。アリスの体を縛るオノノコマチの艶やかな水。それは出来ない。否定するオノノコマチ。やっぱ気に入らない、キミたちは。それでも止めをささないオノノコマチ。だって、私は約束したの。もう、誰も死んだらいけない、って。
起きているのか、眠っているのか。そのどちらに関わらず、イバラを守るように無数の蔦が覆う。あなたはいったい、なにがしたいっていうの。襲いかかる蔦をヨウキヒは問う。私はただ、眠りたいだけ眠りたいだけよ。それはただの寝言だった。
寝言は寝てからって、あなたにぴったりな言葉ね。そして寝言の会話は続く。だから私は、別に勝つことに興味はないの。だったら、いますぐ出ていきなさい。ヨウキヒの抗戦は続く。私達が出ていったら、そこに安らげる眠りは訪れるのかしら。
輝かしい光をさえぎったのもまた、輝かしい光。どういうつもりか知らないけれど、私の邪魔はさせない。舞い降りた神へと兵を差し向けたシンデレラ。待ってよ、私はただの傍観者だから。天高く舞い上がり、そして光神はふたりを見下ろしていた。
そして神に見守られるように、また監視されるかのように、再開した光の戦い。そうそう、ふたりとも頑張って争ってね。光神が何を考えているのか、それを考える余裕が生まれる隙がないくらい、ふたりの瞳にはお互いの姿だけが映し出されていた。
終わるかに見えたふたりの戦いは、次の夜が明けようとも終わることはなかった。なぜ、そこまでして戦うんですか。そんなふたりの戦いを、ひとり残ったヘンペルは見つめていた。もう、なにをしても無駄だというのに。どうして戦い続けるんですか。
私は大切な友を失った。だから、これは弔い合戦なのよ。大切な友達、か。クレオパトラは失踪した友人を思い浮かべていた。それだったら、私にも戦う理由があるの。私はいまでも信じてる。だから、いつか帰ってくる場所を守らなきゃいけないのよ。