起きてもらえるかな。起きてます。寝てるよね。寝てません。もう、立ちなさい。立ってます。終わりのない押し問答。横たわったままのイッテツ。その隣で呆れ返る精参謀長。こうなったら、奥の手を使うしかないわね。そして部屋に咲き誇る蓮の花。漂う目覚めの香り。わかったってば。そして二人の会話は始まった。
で、ワシになんの用だ。受け答えを始めたイッテツ。あなたの後輩たちも、持ち場に着きはじめたわ。その一言は、彼の意識を引くのに不十分だった。じゃあ、みんなに任せよう。呆れた精参謀長は部屋を後にした。そして、来客の去った部屋で、彼は一人立ち上がる。が、すぐに座った。やっぱり、みんなに任せよう。
イコかな、ネヌかな。それはただの好奇心。うーん、でも、どっちでもいいや。水聖人の興味の対象は、すぐに違うものへ移り変わっていた。だけど、せっかくだから手伝ってよ。そして、彼女は助手として迎え入れられた。やっぱり、助手といえばワトソンだよね。だが、それが勘違いであることに気付いていなかった。
そっか、助手じゃなかったんだね。だが、それはどうでも良かった。着々と改造が施される大きな尻尾。これは機械かな、それとも尻尾かな。それもまた、どうでもいいことだった。先生、最近働きすぎですよ。心配の絶えないワトソン。だが、水聖人は楽しそうだった。だってほら、戦争には新兵器が必要になるでしょ。
行動をすれば、そこには必ず隙が生じる。そして、男はとある結論に達した。それなら、動かなければよいのではないか、と。始まった引き篭もり生活、衰える体力。いや、ワシは力を温存しているだけだ。それは、ただの引き篭もりの言い訳だった。