もう、私は逃げたりしない。雪の美女エリザベートは雪導犬に導かれるように、魔術師と共に王都への道を歩んでいた。その道は初めて歩く道にも関わらず、懐かしさに溢れていた。だから、顔を上げよう。そして、降り出した雨。きっと、この雨が雪に変わる頃には辿りつけるよね。なぜだか、そんな気がしていた。
聖無才メビウスが監視し続けた世界。集積された情報。辿り着いた成果の結晶。彼女は全てを知っていた。聖なる扉の前、聖王と偽者の機体の死闘を。だから私は、力になりたい。それは彼女が見つけた希望。そして、隣り合わせの野望。私にとってはあなたが本物。だから、それを証明してみせて。行ってらっしゃい。