光とは何か。降り注ぐ光に、目を細めながら少女は問う。何者にも等しくその恵みを分け与える光を、もし自由に操ることが出来たなら。光を動力とする機体が創り出された頃、長引く戦争に空は閉ざされ、その機体が動くことは叶わなかった。今は、おやすみなさい。少女の優しい言葉に、ルクスはその目を閉じた。
降り注ぐ光の中、すやすやと眠り続ける光明機ルクス。長く続いた神と竜の争いは終わり、再び空には光が満ちていた。やがてその目覚めは、新たな戦争の始まりと共に。ママはどこ。目を擦りながら彼女は呟く。目覚めたばかりの兵器は、母を求めて初めて外の世界へと向かう。自らに課せられた役目も知らぬままに。
始まりは闇だった。この世界に光は無く、闇が世界の全てだった。それは一説。始まりは光だった。この世界に闇は無く、光が世界の全てだった。それも一説。だが、互いに、それを光だと、闇だと認識出来たのは何故だろうか。始まりは無だったのに。
あの時よりもイイ男になったじゃない。艶やかな視線の先には千本鳥居を通り抜けた咎人が。何度だって奪ってあげる。口元は緩んでいた。アタシは罪に濡れた男が好きなのよ。そう言いながら視線を移した先、そこにはもう一人の罪に濡れた男がいた。