もし、綴られた存在が、創られた存在が無に帰されたとしたら、その子が生まれたという事実も無に帰されるであろう。それでも君は、その選択をするのかね。旅を続ける絶無の少年に突きつけられる真実。だとしても、そうならない方法を探すだけさ。筆型ドライバ【ハヅキ】を手に、ススキは少年の覚悟を受け止めた。
どんな時も笑顔を絶やすことのない一人の少女がいた。絶無の少年が自暴自棄になった時も、その笑顔は少年の心を明るくした。早く行かなければ手遅れになるぞ。光花獣ススキが伝えたのは二つ。光の少女が聖なる扉ではなく、天界へ向かったということ。そしてもう一つ、その少女の出生に隠されていた真実だった。
明る過ぎず、暗過ぎず、そんな丁度良い明るさに保たれた光の庭園に待っているのは光の花獣。若過ぎず、また年老い過ぎず、そんな光の花獣がこの庭園の主だった。明る過ぎても、暗過ぎても、大切なことを見失うな、そんな言葉を口にしていた。
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