聖なる扉へ辿り着くことが出来れば、再び父に会うことが出来るだろう。そう確信した炎を灯した少年達の前に現われたのは、鎧型ドライバ【アカオニ】を纏ったサクラダだった。見かけによらず、ファザコンなのね。何て言われても構わないさ。父から譲り受けた甲型ドライバは、いつになく激しい炎を点火させた。
炎と炎はより強い炎となり、辺りを熱気で包んだ。揺らぐ視界の果て、そこには既に【アカオニ:弐式】を解いたサクラダと、消えることを忘れた炎を灯した少年がいた。もー、降参だってば。少年を乗せた夜汽車は聖なる扉へと。きっとそこに父がいる。いつかのお返しをする為に、右耳を飾った茜色は揺れていた。
燃える炎の果て、熱気で揺らぐ視界、微かに捉えることが出来たのは一つの駅。シンキロウでもカゲロウでもなく、そこに駅は存在していた。そう、夢幻の駅は存在していた。もし立ち入ることが出来れば、聖なる扉へと辿り着く足がかりとなるだろう。
ふーん、仕方ないんじゃない? 自業自得ってやつよね。だって彼ったら、我侭だしさ、自己中だし、乱暴だし、もう嫌いなところをあげたらきりがないわ。でも、もうそんな彼には会えないの? ねぇ、目を覚ましてよ、ねぇ、もっと嫌いにさせてよ。
もう、アナタは十分戦ったわ。なんて、私の口から言えるわけないじゃない。アナタにはもっと働いてもらわなきゃ困るのよ。だから、早く帰ってきて。それまで、私がアナタの代わりを務めるから。今でも、いつまでも、私はアナタだけの右腕なのよ。