もう、私は逃げたりしない。雪の美女エリザベートは雪導犬に導かれるように、魔術師と共に王都への道を歩んでいた。その道は初めて歩く道にも関わらず、懐かしさに溢れていた。だから、顔を上げよう。そして、降り出した雨。きっと、この雨が雪に変わる頃には辿りつけるよね。なぜだか、そんな気がしていた。
聖無才メビウスが監視し続けた世界。集積された情報。辿り着いた成果の結晶。彼女は全てを知っていた。聖なる扉の前、聖王と偽者の機体の死闘を。だから私は、力になりたい。それは彼女が見つけた希望。そして、隣り合わせの野望。私にとってはあなたが本物。だから、それを証明してみせて。行ってらっしゃい。
これが人の為だとしたら、俺はアイツを許すわけにはいかないな。闇に浮かぶ人影。アイツは、いつだって光輝いていた。だから、俺はアイツの闇になれたんだ。ランが構えた銃が撃ち抜こうとしていたのは、遠く離れてしまったあの日の心だった。
そして、そんなランから伸びた影より現れたのはリオ。いい加減、彼を楽にしてあげましょう。リオの心は変わらなかった。彼はもう、王じゃない。そして、あなたたちの道具でもない。彼はひとりの人間なの、だから、すべてを許してあげましょう。
なにもかもが失われ行く空間に立ち上る狼煙。過去を消せるなら、それもまた素敵かもしれないな。ローガンが許せなかった過去、それは聖神への道を選んだ聖王のことだった。だが、いまならまだ、俺たちが正してやれることも出来るんだからな。
君にはまだまだ未来が残されている、だからより良い未来へ生きたいでしょ。だが、フェリスはヘルヴォルの言葉を否定した。私の生きる未来は、隣にパパがいて欲しいんだ。それじゃあ、とても残酷な話だね。これは君の大好きな彼の命令なんだよ。