神界から統合世界を見つめる男がいた。視線の先にはその身を隠していた湖畔を後にしようとする咎人が。もう一度だけ、相手をしてやろう。落ち着きながらも、その瞳には炎が灯っていた。炎と炎が再会を果たす時、そこには一体何が残るのだろうか。
ヒカリは光を宿した少女だぼん。人間と妖精の間に生まれた混種族<ネクスト>と呼ばれる特別な存在らしいぼん。そんなヒカリを仲間にすることが出来るチャンスだぼん!ちなみに、好物はオレンジだぼん。でも最近は、クレープに夢中らしいぼーん!
ユカリは闇を包んだ少女だぼん。魔界で生まれ常界に堕ち、そして人間として育ったという過去を持った少女だぼん。そんなユカリを仲間にすることが出来るチャンスだぼん!ナスの浅漬けが好物ぼん。渋いんだぼん。羊羹好きだという噂もあるぼーん!
ギンジは無を好んだ少年だぼん。宿したわけでも、包んだわけでもないぼん。つまり一般人だぼん。そんなギンジを仲間にすることが出来るチャンスだぼん!本当は強いぼん。無だから弱点がないぼん。更なる秘密もあるぼん。銀杏が好きらしいぼーん!
あぁ、俺に名前はない。アインが捨てたのは「W」の一文字。だから、もう一度生まれ変わってやるさ。あの日、彼が憎んだのはたったひとり。それと、借りを返さなきゃなんないからな。すっきりとした表情で、災厄へと向かう。そうさ、俺は俺の居場所を見つける。俺は俺という人間だということを、証明してやるよ。
もう、涙は流れない。ツヴァイが捨てたのもまた、「X」の一文字。世界には悲しいことがいっぱいなのかな。だとしたら、僕はそれを受け入れるよ。存在していなかった少年が自覚した存在。僕は僕なんだ。否定された過去と、塗り替えられた現在。僕がここに来たのは、災厄を起す為なんかじゃない。止める為なんだ。
見つめていたのはある日の写真。幼き自分と、兄と、その幼馴染の少女、金髪の少年。そんな四人に優しく寄り添う亡き母は左端に。破りとられた右端。どすん。暖炉から聞こえた賑やかな音。いつも、ごめんな。私は、いつだってお兄ちゃんの味方だよ。聖鐘女イヴは、準備をすました兄を見送ることしか出来なかった。
ひとりの男は、ただ見つめていた。起きた災厄と、奮闘する人々を。その男は、ただ耳を澄ましていた。悲鳴と、歓声へ。その男は、ただ感じていた。世界の痛みと、世界の愛を。その男は、ただそこにいた。常界から遠く離れた神界の玉座に男はいた。