神に選ばれた獣と、神に捨てられた獣。俺が正しいということを、その身をもって教えてやろう。翼を広げたグライフは、一直線にグリュプスの許へ。そして、その体ごと地面へと叩き潰されるグリュプス。なにが正しいか、オマエが決める話じゃない。
咆哮と共にグライフを押しのけたグリュプス。あぁ、オレは失敗作かもしれない。いいや、失敗作だ。そう、刻一刻と蝕まれるグリュプスの体。オレのこの悲しみは、オマエにはわからないだろうなぁ。そして、悲しみこそが、グリュプスの秘策だった。
口答えをするな。そう、グリュプスの翼をもぐなど、グライフにとっては造作もなかった。だが、次の瞬間、赤黒い翼が生まれた。続いてもがれた腕。だが、次の瞬間、赤黒い腕が生まれた。そしてグリュプスは笑う。ここがどこだか、忘れたのか。
そう、もがれたグリュプスの体を補っていたのは無数の憎悪たち。ここのみんなは、どうやらオレの悲しみに気づいたようだ。そして、グライフの顔は歪み始める。きっと、オレはこのまま飲み込まれるだろう。だが、それはそれで幸せってもんだ。
失敗作のグリュプスを理解者として認めた憎悪たち。教えてやるよ、セカンドの悲しみを。化け物と化したグリュプス、その圧倒的な力に飲み込まれたグライフ。終わる戦い。色々、ありがとな。そしてグリュプスは自らの生に終わりを与えたのだった。
憎悪を取り込んだ扉の君。ダンテの合図を待たずして飛び掛ったフォルテ。だが、いくらフォルテが実力者であれ、いまの扉の君は人間が敵うような相手ではなかった。だからこそ、フォルテが語りだした自分のこと。俺、明日が誕生日だったんだよね。