あーそろそろ眠ってもいいかな? え、ダメ? 仕方ねえなぁ。でもさ、だったらそっちこそ、さっさと目を覚ましてくれないかな。いったいいつまで、目を開けた夢を見てるつもりなのさ。ほら、さっさと起きろ、お眠の眠れぬ獅子様もお怒りだぜ?
たまにはと思って本気出してやったのに、もー最悪だわ。約束通り、アンタに殺されてやるよ。でもさ、なんだよその顔。なんで泣いてんのよ。悲劇の王でも演じてるつもりかよ。男の涙なんかに、興味はないんでね。やっぱアンタのこと、大嫌いだわ。
元凶はあなたなのね。闇魔女王はその事実を知りながらも、堕精王を受け入れた。俺のこと、いつでも殺していいよ。ええ、この戦いが終わったら、そのつもりよ。互いに利用し合う二人。女王は友の復讐の為、王は自分を裏切った世界への復讐の為。
これが、あなたの本気なのね。レプリカ:フルバースト、その姿はまるでかつての聖王のようだった。振り下ろされる大剣、受け止めることなくかわす体。楽しくなってきたわ。いったい、どちらが世界の光になれるかしら。原初と偽者、優劣を求めて。
続く二撃目。あえてかわさず、機械の左翼で受け止めたオリジン。すかさず、光の右翼はレプリカの体を襲う。だが、それを剣を持たぬ腕で受け止めたレプリカ。案外、丈夫に出来てるじゃない。そう、互いに一歩も引かない戦いは始まったばかり。
世界は日々進化する。一歩ずつ、前へと歩いていく。昨日は過去になる。私が歩んできた世界の速度に、あなたはついてこれない。そう、原初の機体が掲げたプライド。戦いの中で更なる進化を遂げるオリジン。その攻撃は、もう私には効かないのよ。
自らプログラムを書き換えるオリジン。そう、次の瞬間の私は、イマの私を越える。そして、その進化は止まらない。進化を繰り返すたび、新たな攻撃を繰り出すオリジン。防戦一方のレプリカ。所詮は偽者、やっぱり優れていたのは私のほうだったわ。
30秒毎、10秒毎、1秒毎に進化し続けるオリジン。私はその行き着く結末を知りたい。そうこぼしたマクスウェル。だが、マクスウェルが知りたい結末はそれだけではない。負けないで。そう、なぜかマクスウェルは優勢のオリジンへ言葉を贈った。
防戦のレプリカ。だが、その目は死んではいない。三本の腕で前方を塞ぎながらオリジンへ。一本。縮まり出した距離。一本。縮まる距離。一本。更に縮まる距離。三本の腕と引き換えに手に入れた射程圏内。そして、剣を握った最後の一本を前へ――。