神々しいほどの輝きを放つ六つの光の出現に戸惑う常界<テラスティア>に舞い降りたのは、美を司る大精霊ティターニア。差し伸べた手は、光を宿した少女へと。これ以上、聖なる扉<ディバインゲート>に近づいてはなりません。それはまるで、幼子を叱る親の様。彼女は誰よりも、少女自身の平和を想っていた。
全て、精霊会議での決定です。それでも拒もうとする光を宿した少女へと向けられる強い眼差し。力を解き放ち、妖精王としての姿を露わにするティターニア。もう、時間がありません。強引に差し出された手は、歪な感情を纏っていた。これ以上、都合の良い犠牲を出すわけにはいかない。二人の間に光精王が立塞がる。
ここは、女性が美しさを競い合う美しき闘技場。そして、君臨するのは美しさに祝福されし美の精霊の王。女性だけが持つ力強さは美しさへと、世界で一番美しき戦いが始まる。浴びる眼差し、沸き起こる歓喜、美しさに抱かれた戦いが今、始まる。
しばらくウチに泊まりな。竜神と共に訪れた竜界、風咎棍士はキャリバンの道場に身を寄せていた。伝えられたのは聖王奪還の失敗、魔界から天界への進軍、各世界の往来手段の封鎖。だけど、私がここにいたら。想いを馳せたのは離れ離れの友達。だが、その想いを遮った一言。いまのキミに、なにが出来るのかな。
世界と世界の争いに、民は口を挟めない。風咎棍士が気づかされた己の無力さ。キミはどちらかを選べるのかな。詰まる言葉。だけど、ウチの王様は不在なんだ。だから探してきてよ、出来損ないのアイツの本当の姿を。告げられた希望。それに、彼女ももう一度会いたいみたいだしさ。そこには、懐かしい笑顔があった。
差し出した一通の封書。坊ちゃんは誰の差し金だ。その問いに答えることもせず、男は姿を消した。文通なんざ、趣味じゃねぇっての。その封書を開くことなく破り捨てた男。そして、そんな姿を見届けたデオンは再び夕闇へと溶ける。やっぱりあなたって人は、そういう人なんですね。その言葉は喜びにも似ていた。
無事に届けてくれたのね。魔参謀長から受け取った報酬。これは仕事だから。そんな言葉を残し、不夜城を後にした密者デオン。その足で向った屋敷。で、奴の様子はどうだった。伝えた一部始終。それでこそ、王の秘密機関だ。サングラス越しの瞳、葉巻を咥えた口元、そんな彼もまた、満足気な笑みを浮かべていた。
竜道閣はかつて、竜界の脅威と恐れられた綴られし存在が封じられし場所だった。だが、綴られし存在に罪があるのだろうか。それは後任の竜王が説いた優しさ。そしてまた、その裏の真意は、竜王家でもごく僅かな者にしか伝えられていなかった。
一週間後、再び聖常王の下へと集まったアカネたち。だが、集まっていたのは一週間前より少ない数だった。その理由を問う者はいない。各々が持つ、各々の世界。そこへ口を挟むことは許されない。それでは、始めようか。偉大なる神様への反乱を。
初めに聖常王の口から伝えられたのは、最高幹部のひとりであるベオウルフの失踪、そしてギルガメッシュの詳細だった。神へと抗う塔に現れた正体不明の新たな神。無数の刃が飛び交い続ける戦場。だが、聖常王はトーンを変えることなく話し続けた。
触れられたのは六聖人について。謁見の場で承認を得たという事実。そう、「事実」のみが簡潔に伝えられた。これで準備は整った。そして紹介されたのは、魔界からの援軍である三魔獣士。聖常王は静かにアカネたちへと最後の問いを始めたのだった。