研究の結果が導きだしたひとつの答え、人工的に造られたドラゴンの誕生。そして、ニトロと名付けられた人工ドラゴンには、ありとあらゆる化合物が投与された。それは全て、このドラゴンの誕生を無かったことにする為に。止まらない暴走、訪れる恐怖、研究工程での誤算はひとつ、抹消方法の検討不足だった。
投与され続けた化合物でさえその体内に取り込み、成長を続けたニトロは化合竜へと進化を遂げた。その身体がどのような要素で成り立っているのか、どのような過程で成長を遂げたのか、それらの経過を書き記す暇もなく、続けられた投与実験。この研究が終わりを迎える時には、この研究所も終わりを迎えていた。
少女が感じていた違和感。私は誰なのだろうか。与えられた本に記されていた父、母、家族という存在。そのすべてが自分には当てはまらなかった。真実ではない真実。受け入れる以外の道はなかった。そう、私はクロウリー。教祖として生まれた存在。そして、少女は違和感を抱えながら、偽りの道を歩き続けていた。
立ち入り禁止区域に指定されていたはずの神へと抗う塔。エンキドゥはその禁を破ったわけではなかった。その塔が神界と常界を繋ぐ存在であれば、常界から神界への通行は確かに禁止されていた。最初からこいつは、そっち側の存在だってことさ。そう、彼にとって、常界へ来るのに、禁などは存在していなかったのだ。
ただ征服神を見つめる呪罰神エンキドゥ。私の言葉が届かないのか、それとも、言葉そのものを失ってしまったのか。ふたりに訪れた最悪の再会。呼び覚まされた無数の獣。お前は逃げろ。征服神のただならぬ覚悟を察し、その場を離れた無英斧士。お前は人形なんかじゃない、だからどうか、目を覚ましてくれ。
で、あなたはいくら賭けるの。幾元嬢は問う。ここは魔界の賭博場。俺はいつだって、でかいもんを掴みたいんだよ。預けられたのは大量のチップ。そんなあなたに、これをサービスよ。差し出されたブルームーン。ふざけやがって。そのカクテルが意味したアストの敗北。そして、うな垂れた男の許を訪ねる女がいた。
やったじゃない、でかいのが来たわよ。炎魔獣士アストが顔をあげると、そこには大きな胸が揺れていた。赤ら顔のまま、さらに顔をあげる。オマエに召集命令だ。男の許を訪ねてきたのは南従者だった。もちろん、聖魔王の許可を得ている。そして、召集されたのは男だけではなかった。俺たち三魔獣士全員が召集だと。
集まっていた視線。テラス席でひとり、ゆっくりとページをめくっていたのは才色兼備なポストル。ようやく、休息が訪れたと思っていたんだけどな。その言葉とともに閉じられた本。いいよ、わざわざキミが来たってことは、それなりの用事なんだろう。視線を交わすことなく一方的に進む会話。それじゃあ、行こうか。