辿り着いた時には閉じられていた聖なる入口。なに肩落としてんのよ。炎を灯した少年へと向けられた一言。きっと大丈夫だよ。優しき炎の獣。おい、来客だぞ。異変に気づいた炎精王。少年達の前に現われたオセロ。ワタシノタメニ、シンデクダサイ。懐かしい気配も感じるデス。自律の心は異なる来客を予感していた。
ワタシノヤクハ、アナタノセンメツ。自ら打ち抜いたこめかみ、水戯機オセロは炎をかき消した。水の戯れに成す術を失くした少年達。ソロソロ、シンデ。心の灯火が消えかけたその時、少年が感じた懐かしい暖かさ。よく見とけ、機械はこう支配すんだ。顔を上げた少年の瞳に映ったのは、温かい大き過ぎる背中だった。
有難うございました。生んでくれてありがとデス。二人を繋いだ優しき獣と自律の心。最期まで良いものを教えてもらったな。二人の為、炎へと還る炎の起源。オマエは、生きろ。そして一人の為に、一人の男は炎神スルトへと立ち向かう。親の責務を、果たす為に。
あの人がいつも話してくれた彼のこと、少しは守ることが出来たかな。元気で、明るくて、やんちゃで、それでいて友達思い、全部話してくれた通りだったよ。きっと僕は、あの人がいてくれたから、今も生きていられたんだ。優しさを、ありがとう。