7つ立ち並んだ楼閣の守り人、イナリはひとり下を向いていた。今も降り止むことのない世界の悲しみを受け止めるには小さ過ぎた赤いから傘を片手に。人々を導く炎となれ、天界<セレスティア>から与えられた使命を果たすのが先か、それとも、孤独に震え、降り止むことのない悲しみにその灯を絶やすのが先か。
やっと自分を見つけてくれた、その喜びに笑顔をみせたイナリ。もたらされた炎と炎の共鳴<リンク>は狐の少女を巫女へと導いた。次は自分が導く番だと、9つの尻尾が先陣をきって歩く。まだ、降り続ける悲しみは止まない。だけど、少しの悲しみでも受け止めたいと、小さ過ぎる傘を閉じようともしなかった。