あなた様に、ずっとお会いしとうございました。そんな言葉と共に、水咎刀士の前に現れた少女マリナ。わたくしが、あなた様のお力になってみせます。そして、ぶんぶんと碇型ドライバ【アンクル】を振り回してみせた。なぜ、僕のことを。わたくしは、知っているんですよ。あなた様の、お父様を、お母様を、弟様を。
あなた様は気付いていたんでしょう。ご両親の歪んだ愛情に。出来の悪い兄と、出来の良い弟。虐待される兄と、優遇される弟。だから弟様は。ただ、気付いていないことが、一つだけ残っているんです。続く一人言を遮る一言。君は誰だ。わたくしは、水先案内人です。誰の差し金だ。それはまだ、言わない約束です。
立入禁止区域を抜けた先に、遊水洞は存在していた。涼しげな風、穏やかな日差し、生い茂る緑、そこはまるで、秘密基地のようだった。ここを、2人だけの内緒の場所にしよう。そんな約束をしたのは、金髪碧眼の幼き兄弟。水は2人を祝福していた。
再会は、もうすぐだね。水精王は語りかける。弟君に会ったら、どうするつもりなのかな。水咎刀士は口を開く。あの日の真実と、向き合うまでだよ。それは、彼らの両親が命を落とした真実。だから、行こう。教団本部は目前まで迫っていたのだった。