そして少年は「炎」に出会った。真っ赤に燃える炎、それは幼き日からいつも傍に感じていた様な暖かさ。亡き父から譲り受けた甲型エレメンツドライバ【イグナイト】はアカネの右腕、左腕へと収まり、炎を灯す。開かれた扉、聖なる入口<ディバインゲート>、交わった世界、運命の火蓋が今、切って落とされる。
「炎」を灯す者として、聖なる出口<ディバインゲート>を目指し、統合世界<ユナイティリア>を自らの拳で壊すことを決心したアカネ。新たな炎を灯し、【イグナイト:セカンド】へ進化を遂げるドライバ。父が託した意味、それが仕組まれた運命だとも知らずに、戦いへの熱い闘志を燃やし、反逆の狼煙をあげる。
火竜さえも凌駕した「炎」は火花を散し、ドライバは【イグナイト:サード】へと進化した。自ら上げた狼煙は災いの火種となり襲いかかる。それはこの統合世界を正常化する為に発足された「世界評議会」にアカネの良く知る「ある男」が選ばれた影響であり、約束された未来の存在と黄昏の審判に気付き始める。
仕組まれた運命、歩かされてきた道、立ち塞がる壁、見せつけられた力の差、消えかける心の灯火。哀傷のままに誘われたのは火想郷<アルカディア>。全てを受け入れ、そして再び炎を灯すアカネ。生まれ変わった相棒【イグナイト:ホムラ】と共に、今度は自らの意思で、自らの拳で、新たな戦いの狼煙をあげた。
天界<セレスティア>の炎を司る大精霊、イフリート。この世界に存在する炎の起源<オリジン>であり、その体は炎により形成されている。交わってしまった世界に業を煮やし、短い気を更に短くさせていた彼女。怒りの炎を燃やし、辺りが深紅に染め上げられた頃、その茜色を頼りに、新たな力を求めた甲士が訪れる。
炎を灯した少年との出会いが彼女を変えた。起源<オリジン>である自分の起源を知るために訪れた火想郷<アルカディア>、彼女は炎精王へと生まれ変わる。種族を超えた出会い、炎と炎の共鳴<リンク>が燃やす熱い炎。全ては審判の日の為に、自分を変えてくれた少年が愛する常界<テラスティア>を守る為に。
極秘裏に開発が進められていた第五世代自律兵器型ドライバ【シラヌイ】は、まるで誰かの戦闘データが蓄積されたAIが搭載されたかのような振る舞いをみせるが、未だ完成には至っていなかった。足りないピース、それは自律の心を動かす力、新たな動力源エレメンツハートの稼働条件。冷たい機械の心に温もりを今。
拳を交える中、機械の心が人間の温かさに触れた時、初めて鼓動を響かせるエレメンツハート。自立を超えた自律、それはまるで人間の様で。燃える魂、狼煙を上げる拳、温もりをくれたあの人の力になりたい。【シラヌイ:ホムラ】はお揃いの赤に袖を通した。全ては父から子へ、厳しさの先の優しさの贈り物だった。
研究所の最深部、自らの死を偽った天才は研究を続けていた。そして、偽りのレポートを提出してまで成し遂げたかった目的、開発された第五世代自律兵器型ドライバに込めた願い。炎を灯した少年の元へ急げ、それが未完成品への唯一の命令だった。
心のどこかでは気がついていた。きっと全ては、自分の為だったんだと。決して埋めることの出来ない離れ離れだった時間、だけど、幼き日からいつも傍に感じていた様な暖かさの正体を確信した時、燃える大きな背中への憧れと共に、聖なる扉へと。
今日からここが、君の寝床だよ。はめられた首輪に繋がれた鎖を引きずられ、空一つ見えない部屋に連れて来られたヨウコウ。本当にすまない、あと少しなんだ。わずかな隙間から、いつも時間外の食事を差し出してくれる温かな手に親しみを覚えた頃、59回目の起動実験を開始するアナウンスが鳴り響いていた。
不意の爆発により、偶然にも解放された炎拘獣ヨウコウは炎に包まれた研究施設を見つめていた。優しさをくれたあの人は無事だろうか。後ろ髪引かれる想いを胸に閉じ込め、施設を後にした。そして行き場を無くした彼は優しさの足跡を辿り、巡り会えた優しさの子供に真実を伝えた。全て、君の為だったんだよ、と。