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私の相手はいないようですね。退屈そうに髭を撫でたサルバドール。そんなサルバドールの背後から聞こえた足音。皆様、いままで本当に申し訳ございませんでした。振り返ったサルバドールの瞳に映ったひとりの男。聖暦の闇才、ただいま戻りました!
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懐かしい顔だ、これで退屈は満たされる。見詰め合うふたりの妖精。私は過ちを犯した。だが、こんな私でも、帰りを待ってくれている人がいた。だから今度はそんな人たちの力になりたい。大きな聖戦の中の、小さなひとつの戦いはヘンペルを変えた。
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それじゃあ、さっさと裏切り者を始末しようか。未来を描き変えることの出来るサルバドール。だが、そのサルバドールはヘンペルを前に立ち尽くしていた。なぜだ、なぜ私の力が効かない。そう、サルバドールは知らなかった。ヘンペルの命の秘密を。
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サルバドールへとにじり寄るヘンペルの少しはだけた胸元。光輝いていたのは義臓型ドライバ。そうか、そういうことだったのか。だが、サルバドールがヘンペルの命の秘密に気づいたときには、すでに手遅れだった。私は聖暦の天才と呼ばれたが―。
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よく頭の悪い天才と言われたものだ。さらににじり寄るヘンペル。その昔、私は自らの心臓を失くした。だから私は、死者も同然。死者に未来など存在しない、描き変えることなど、出来やしないのだよ。こうして、争うことなく戦いは終わりを迎えた。