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晴れ渡った青空、色鮮やかな花が咲き乱れていたのは天界の美宮殿の空中庭園。流れてくる耳に心地良い音楽。そんな庭園の中心にヒカリはいた。そして、そんなヒカリへと歩み寄る三人の男女。そろそろ、お昼にしましょうか。そこには幸せがあった。
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紅茶を注ぐオベロン。料理を広げるティターニア。我先にとフルーツに手を伸ばしたモルガン。さぁ、みんなで食べましょう。存在しなかった家族の時間。ねぇ、なんでかな。なんでみんな気づかないの。そう、ヒカリは大きな違和感に気づいていた。
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どうして彼はここにいないの。もうひとりの血の繋がった兄、アーサーはその場にいなかった。そして、違和感を口にすると同時にオベロンとモルガンは姿を消した。これがきっと、彼の知る幸せなんです。そう口にしたのはティターニアだった。
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彼はあなたに次の世界を託したかった。だから、こうして隔離した。そして、優しい夢を見せた。ティターニアは語る。でも、それって……。ヒカリは気づいていた。そうです、きっと彼は、最後にあなたに選ばせたかったんでしょう。どうすべきかを。
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ヒカリの答えは決まっていた。私、何度も考えたんだ。いったい、幸せってなんなんだろう、って。きっと、幸せの形っていっぱいある。でもね、ひとつだけ確かな答えを見つけたよ。幸せは自分の手で、自分たちの手で掴まなきゃいけないんだ、って。