-
隊服を脱ぎ捨てた青年は育ての親から聖剣を託されていた。どんな使い方をしても、良いってことだよな。わざと吐き捨てた言葉。大丈夫だよ、私はあなたを、あなた達のことを、信じているから。湖妖精に見送られ、一人先に湖畔を後にしたのだった。
-
青年は自分のせいで大切な親友を失った。ずっと一緒にいたのに。誰よりも一緒にいたのに。なぜ、気がつかなかったのか、彼ならきっと、わざと間違った使い方をすると。そんな失意の青年の目を覚めさせたのは封印されし聖剣による鈍い一撃だった。
-
殺したいほど憎かった。いつか殺すと思っていた。だが、それが愛情の裏返しであると気付いていた。ただ、気付かないフリをしていた。アイツさえいなければ、オレは今頃。聖剣を手に、青年は鞘を捜し求めて旅立つ。オレが殺すまで、待ってろよ。
-
袋に詰め込んだ数え切れない夢と希望。これでもまだ、足りないな。そして、聖剣を手にした男と一つの約束を交わした。一人の男は殺す為に、一人の男は生かす為に、異なる想いを抱きながらも交わした約束。それは、聖王の奪還という約束だった。