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この翼は、空を飛ぶ為ではなく、皆を運ぶ為に使おう。そう、百獣の王は既に、欲しかった輝きは手に入れていた。後はこのまま、ずっとみんなと一緒に暮らせればそれでいい。その為にも、戦う。そう、守りたいものは、人それぞれに、存在していた。
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外敵から身を挺して家族を守る、そこに言葉はなく、ただ行動のみが存在していた。そう、言葉などなくても、家族は絆で結ばれている。なのに何故、同族同士で、言葉も通じるのに、争い続けるのだろうか。案山子には理解することは出来なかった。
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朝方、目が覚めるとそこにはいつもの腕がなかった。まどろみの中、探した温もり。だけど、見つけたのは空を見つめる寂しげな笑顔だった。起こしちゃいましたか、さぁ、もう一度寝ますよ。いつまでも、この人の傍にいよう、そう思った朝だった。
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新しい自分になりたかった。でも、いつまでも忘れることの出来なかった昨日。人は簡単に忘れられない生き物です。そう言いながら魔法使いは隣に腰をかけた。家族には弱みを隠さなくてもいいんですよ。少女の頬を伝ったのは、一筋の涙だった。
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僕が裏切ったんじゃありません、世界が僕を、僕達を裏切ったんです。そして続く言葉。だからこんな世界、再創<リメイク>すればいいんです。新しい世界を、再び創るのです。そう、魔法使いが口にした言葉は、黄昏の審判の答えを意味していた。