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何故、誰も気がつかなかったのだろうか。光の竜に、神の持つ槍の名が与えられている意味に。全て初めから、約束されていた未来。解放された力、刃へと、本来の姿へと変わる光の竜を手にする者、脅えていたのは歪な平和に彩られた天界だった。
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幸せの光猫は永遠郷<シャングリラ>に位置する光の浴室で、光の祝福に包まれていた。それは光の共鳴<リンク>の果てに。偶然浴室に居合わせた天界の歌姫と光の美女に挟まれ、少し頬を赤く染めながらも、満足そうな笑みを浮かべる光猫だった。
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あの時のクレープ、美味しかったな。思い出すのは息抜きの日の出来事。賑わう遊園地、だけど何故か寂しかった。それは、天界の歪な平和の片鱗を知り、そして、未だ伝えられない想い人が遠くへ行ってしまいそうな、そんな気がしていたからだった。
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百獣の王であれ、檻に閉じ込められてしまっては手も足も出せなかった。ただ人前に出され、そして観客を喜ばせる。そこには沢山の笑顔が溢れていた。だけど、そんな客席に、一人だけ、寂しい顔をした魔法使いがいたことを、ずっと覚えていた。
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欲しかった翼、広がる空、それでも魔法使いの傍にいた一匹の獣。それは、夜空に散りばめられた、申し訳程度に光る星屑よりも、魔法使いの魔法の方が輝いて見えたから。そして、きっと、自分のことを信じ、翼を与えてくれたと思えたからだった。