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そこには、ずっと探していた宿り木があった。そして、風の竜は刃へと姿を変える。解放せし者が握り、そして空へと捧げた贈り物。舞い降りた光と共に起きた竜巻は、空高く昇り続けていた。まるで、空の上から世界を見下ろす神へと変わるかの様に。
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偶然にも巻き込まれた竜巻は、風の猫と共鳴<リンク>した。いくら向かい風が吹こうとも、いくら追い風が吹こうとも、自らの雲に乗り漂う猫は、のんびりと空中散歩を楽しんでいた。次はあの飛行機雲を目指そうか、興味の対象はいつも雲だった。
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少女は、お姫様に憧れていた。いつかきっと、白馬の王子様が迎えに来てくれる。自分はピンクのレースのドレスに身を包むんだ。そんな恋に恋する森乙女は一人、回転木馬に跨り、瞳を開けた夢を夢見ていた。そう、それはあくまでも、夢だった。
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案山子に心などなかった。あるとしたら、使い捨てられた荒んだ心。だけど、そんな心に差し込んだ一筋の光。それは、あぁ、今日は風が喜んでいる、などという訳のわからない供述ではなく、くたびれた手を握ってくれた、一人の魔法使いだった。
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蔦の様に固く絡まった想いは、使い古された自分を必要としてくれた魔法使いへと捧げられた。勘違いしないで下さい、僕は君を使う訳じゃない、家族として迎え入れるだけですよ。それは、ずっと一人だった彼に、初めて家族が出来た瞬間だった。