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日夜繰り返されていた闇の力の増幅実験。漆黒研クインテセンスを含むこの立ち入り禁止区域の周りには、無数の抜け殻が転がっていた。全ては悪しき闇への探求の為。失意の天才へと与えられたこの施設で、声にならない悲鳴がこだましていた。
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常界こそ、悪意の塊ではないだろうか。脳裏から離れることのない常界の罪人への執行風景。闇刑者は一等悪魔への昇格を前に再び常界を訪れていた。多くの抜け殻の噂を頼りに訪れた漆黒研、そこでは彼の想像以上の異常事態が日常と化していた。
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被験体411、左腕に貼られた番号。天才にとって、同族であることなど、何の意味もなさなかった。最愛の女性から受けた拒絶が、今も彼の創り物の心を苦しめる。なぜ私じゃダメだったのでしょうか。少し頭の悪い天才は、被験体での実験を続けた。
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増幅された闇の力が自立型ドライバの稼働を加速した。もっと、もっと、もっと、止まらない欲求、止まらないペン、あっという間に書きあがる起動実験のレポート。だけど、それほどの天才でも、恋の方程式を紐とく頭脳は持ち合わせていなかった。
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恋に敗れた天才にとって、この統合世界に存在理由など求めなかった。手を引いてくれた方へと捧げた創り物の心。全ては上位なる存在の為に。天才へと告げられた新たな研究、それは二文字の合言葉。たった二文字で、彼は全てを理解していた。