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そこにはなにもなかった。空っぽだった。ギンジは立ち尽くしていた。だが、灯った小さな炎。あぁ、俺はオマエから真っ直ぐってやつを教えてもらったんだった。なにもない俺に火をつけてくれたのはオマエだったんだ。そして、ギンジは歩き始めた。
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歩き始めたギンジを打ち付けた雨。だが、決して動揺することのないギンジ。優しさってやつは、オマエがいたから備わったのかもしんねぇな。そこには誰もいない。だが、ギンジには見えていたのだろう。共に歩んできた、大切な友と呼べる存在が。
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歩き続けるギンジを吹きつける風。知ってるぜ、いつだって動かなきゃなにも始まらないって。行動力はオマエが教えてくれたんだ。そしてギンジは走り出す。こんな場所で、道草くってる場合じゃないんだ。少しでも前に、それがいまのギンジだった。
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そして、走り続けるギンジの前、眩しい太陽が昇る。ありがとな、オマエの笑顔にはいつも救われてた。そうだ、楽しいときは笑えばいい。辛くたって、笑えるなら笑えばいい。俺のことだって、笑いたきゃ笑えばいいさ。俺は恥じたりなんかしないぜ。
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やがて太陽は沈み、夜が訪れる。だが、不安がギンジを襲うことはなかった。冷静さは、オマエがいたからか。ギンジが振り返った大切な仲間たち。みんな、すぐそっちに戻るからな。あぁ、そうさ、俺はみんなと一緒に、イマを生き抜きたいんだ。