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金色の光が止んだとき、アカネは自分が生まれ育った家にいた。暖かな縁側、台所から響く包丁の音。そして、アカネが自分の死を直感したのは、目の前に懐かしい男が現れたからだった。久しぶりだ、アカネ。そこにいたのは、炎才パブロフだった。
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縁側に並んだ親子。ここはどこなんだ。きっとここが再創された世界、誰しもが幸せになれる世界……から、外れた例外の世界だろう。アーサーが下した世界の決定、それはディバインゲートを使用し、世界を再び構築すること。じゃあ、なんで俺は。
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なぜ、アカネが例外の世界に存在していたのか。それはきっと、オマエが知ったからだろうな。アカネが常界の始まりの地で知ったディバインゲートの真実。そう、扉そのものでもあるアイツが、オマエをこの世界へ隔離したんだ。次の季節の為へと。
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俺はそんなこと、望んじゃいない。俺たちは一歩ずつ、それでも前に進んできた。道を踏み間違えることだってあったよ。だけど、俺たちはイマを生きたいんだ。扉がもたらす未来なんか知らない。俺たちの未来は、俺たちが作っていくもんなんだから。
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パブロフが突き出した拳。派手に壊してこいよ、そのオマエの拳で。アカネが突き出した拳。あぁ、当たり前だ。茜色に燃える夕日が照らしだしたのは、親子によって交わされた最後の約束。これで、本当にお別れだ。アカネ、オマエはイマを生きろ。