アイツが望んでいなかったとしたら、俺が道を正してやるだけだ。サンタクローズの周囲に展開される無数のドライバ。そのドライバの群れと共に再びロキへと一直線に飛びかかる。一本、一本、ドライバを壊されながらも、決して攻撃を止めやしない。
ロキはすべての攻撃を防ぎながら、それでいて楽しそうな顔を続けていた。ねぇ、キミは気づいているよね。キミがつけたアルトリウスという名前、それがすべての始まりだったんだ。そう、アーサーを王にしたのはキミだ。神にしたのもキミなんだ。
少し、相手が悪かったですわ。いくら議長の使徒とはいえ、聖人であるジャンヌの攻撃を防ぐので精一杯のシャルラ。そして、攻撃の手を休めることなく、槍を振るい続けるジャンヌ。あなたも人間なら、わかるよね。それはジャンヌの希望でもあった。
さすがは、元天界の王といったところね。互いに、一歩も引くことなく互角の争いを繰り広げるラウフェイとニコラス。いや、俺は元天界の王として戦ってるわけでもなけりゃ、聖人として戦っているわけでもない。ただの父親として戦ってるだけさ。
ロキの言葉を受け、攻撃の手を止めたサンタクローズ。そうさ、俺がアイツの人生を狂わせた。そして、再びサンタクローズはドライバを展開する。だから、もっと狂わせてやる。あぁ、そうさ。俺がアイツを、神様から人間に堕としてやるんだよ。
だが、サンタクローズとロキの間に割って入った新たな人影。それはロプトだった。サンタクローズの攻撃を受け、壊れたロプトの仮面。露になったのは神になれなかった証。どうもありがとう、もうひとりのボク。そして、ボクになれなかったボクよ。
ロキへの攻撃を、すべてその身で受け止めるロプト。予期せぬ横槍に、苛立ちを隠せないサンタクローズ。だが、次の瞬間、ロプトへと襲いかかったのは無色の炎。この戦い、私にも介入させてもらう。無色の炎の正体は、続いて現れたカナンだった。
悪いが、そっちを任せてもいいか。ええ、構わないわ。私たちの最終目的は同じなのだから。そしてカナンの両手から生まれた無色の渦。その渦から飛び出してきた無色の竜。すべてを喰らい尽くしなさい。無色の竜は目の前のロプトを捉えていた。
迫り来る竜の猛攻をかわすことしか出来ないロプト。そう、ロプトは感じていた。この竜に触れただけで、その身が無に帰されると。だからこそ、カナンへ反撃する一瞬のチャンスを狙っていた。そして、カナンはその場を一歩も動こうとはしなかった。
訪れた一瞬の隙。カナンへ刃を投げつけたロプト。そして、その攻撃と引き換えに、その身を竜に喰われたロプト。そして、投げられた刃をその身で受けたカナン。かすかに切れた体から流れ出した血。あなたが生きた証、この身に刻んでおいてあげる。