植えつけられる神格。だが、それは確かなものではなかった。そう、その神格に耐えうる肉体、そして精神。幾度となく、植えつけられては死にゆく人間。そう、私は選ばれた。だが、私は選ばれなかった。堕愚者ロプト、それは悪戯神になれなかった男の成れの果て。だとしても、私は私の存在意義を見出すだけだ。
綴られし存在に本物の家族など存在していなかった。血の繋がりなど存在していなかった。だが、確かに本物の家族は存在していた。血の繋がりよりも、遥かに強い想いの繋がり。そして、沢山の想いが繋いだひとつの命。帰ってきたオズ。そう、たった四文字を、どれだけ待ちわびていただろうか。みんな、―ただいま。
本当に、いいんだね。そう問いかけたのは聖精王。あぁ、みんなそのつもりだ。そう答えたイフリート。揃って首を縦に振った精霊王たち。綴られし存在に与えられた禁忌の血。それは呪いだった。私たちにも、その呪いを背負わせて欲しい。私たちの心はひとつなんだ。共に、イマの世界のために戦わせて欲しいんだ。
ウンディーネたちは気づいていた。自分たちに禁忌の血が分け与えられる意味を。きっと、私たちは永遠の存在になるんだよね。だけど、それでいいの。私たちはこれから先も、イマの世界を守り続けなきゃいけない。そんな大切なお仕事が出来るなんて、とっても素敵だと思うんだ。やがて、永遠の孤独が訪れようとも。
ウチらの可愛い弟子たちのためアルネ。シルフはいつもどおりに笑ってみせた。もちろんあの子たちも、すべてをわかったうえで背中を押してくれたヨ。だから、ウチらは選択したネ。ううん、あの子たちがいたから、ウチらは選択出来たアルネ。それに、王様にだけ業を背負わせるなんて、そんなこと選択出来ないヨ。
ウィルオウィスプに与えられた禁忌の血。取り戻した体。だが、それは決して喜ばしいことではなかった。この呪いは、私たちで終わりにしましょう。じっと見つめ返した聖精王。いまにもこぼれそうな言葉。ううん、あなたがその言葉をいう必要はないんですよ。だからどうか、イマの世界だけを見つめていて下さい。
少しだけ、怖いかもしれない。そう溢したシャドウ。だけど、きっと怖いのは私だけじゃない。私たちだけじゃない。きっとみんな怖い。色々な恐怖と戦っている。だから、私が安らぎをもたらさなきゃいけない。そう、だから私は乗り越えてみせます。取り戻した笑顔。イマの世界のために、みんなの安らぎのために。
なぜだろう、呪いのはずなのに温かいのは。それは体を取り戻したからではなく、聖精王の想いがその体に流れ込んできたから。それじゃあ、行くとしようか。再びドライバへと戻った精霊王たち。どうか彼らに力を。終わる世界に抗う力を。願うことはただひとつ。私たちは生き続けよう、終わることないイマの世界に。
聖神への裏道を抜けた先に広がっていた景色、それはかつて聖王の根城とされていたアヴァロンそのものだった。やっぱり、寂しかったんじゃないか。アカネがこぼした言葉。そして、その言葉に応えるかのように現れた仮面の男。いらっしゃいませ。
そう、現れたのはロキだった。聖人のみなさまは、ご退場願えますか。鳴らされた指先。隔離されたニコラスとジャンヌ。それじゃあ、ボクは聖人のみなさまと遊んでくるよ。姿を消したロキ。そして、ロキの代わりに現れたのは北欧神の6人だった。
スルトと対峙したアカネ。下等な人間がいくら足掻こうと、世界の決定は覆らない。訪れるのは、約束された未来だけだ。否定するアカネ。いいや、違う。俺たちは不確かなイマを生きる。約束された未来なんかいらない。俺は、みんなと生きていく。
ふふふ、これで邪魔は入らないわね。アオトを前に、頬を紅潮させたシグルズ。そこをどいて。ただ睨みつけるアオト。僕たちは君たちを相手している場合じゃない。もっと先へ、イマの世界を進んでいかなきゃいけない。僕たちの足で歩いていくんだ。
私はあなたを憎んでいた。ヘズを見つめたミドリ。だけどね、憎しみはなにも生まないんだよ。私は過去を憎むことよりも、イマを一生懸命生きていきたい。私が出会ったみんなの、大切を守りたい。そう、私はみんなと生きる、イマを守りたいんだ。
ちょっとぶりだね。ヒカリと対峙し、嬉しそうなオーディン。でも、遊んでいる暇はないかな。構えられた槍。私も遊んでいる暇はないの。対するヒカリ。確かにイマの世界は完璧じゃないよ。でもね、それでも私は、イマの世界を愛してるんだから。
あら、いったいどうしたの。ヘグニは不思議だった。そう、それは再会を果たしたユカリの表情が以前とは違っていたから。そう、憎しみではなく、希望を宿していたユカリ。私は約束をした。私は過去に生きるんじゃない、私は私のイマを生きるって。
ねぇ、いま統合世界は大変なことになってるみたいだよ。ギンジへと語りかけるヘルヴォル。だから、どうした。決して動揺することのないギンジ。俺は、みんなに支えられてここまで来た。だから、俺は統合世界のみんなを信じる。それだけの話だ。
北欧神と対峙したアカネたち。そして、開いていた裏口から遅れて現れた妖精。これをアンタたちに、って。現れたのはモルガン。なんで、アタシなんかに託したのよ。モルガンがアカネたちに届けたのは聖剣の鞘ではなく、6つのドライバだった。
ありがと、お姉ちゃん。それじゃ、アタシは帰るから。そして、モルガンは裏口へ。そんな裏口ですれ違ったひとりの男は、アカネたちを飛び越え、北欧神の目の前へ。さぁ、北欧神の皆様へ魔法をおみせしましょう。種も仕掛けもない、僕の魔法を!