ニズルの指揮の下、ファブラとウロアスは休まず攻撃をし続ける。それでも傷ひとつつけることの出来ないメイザースの身体。こいつは、予定外だったな。だが、それでもふたりの攻撃を止めなかったのは、ヴェルンがふたりを信じていたからだった。
無傷のメイザースと、傷の増えるファブラとウロアス。それじゃあ、そろそろ君たちには死んでもらおうかな。拘束されたふたりの身体。思わず動き出したヴェルン。そして、そんなヴェルンを追い越したふたつの影。俺は左へ行く、お前は右を頼んだ。
まもなくして解放されたふたり。そして、そんなふたりを助けたのもまた、ふたりの竜だった。まさか、君に助けられるなんてな。ファブラの言葉はリヴィアへ。かたじけない。ウロアスはヒスイへ。そう、窮地を救ったのはリヴィアとヒスイだった。
雑魚が何人増えようと、僕にはかなわないんだから。依然、余裕をみせつづけるメイザース。対するは6人の竜。さぁ、いまは俺たちを使ってくれ。ヒスイはヴェルンへと投げかける。あぁ、じゃあ遠慮はしないぜ。そうさ、俺たちの本気をみせてやる。
そして、ヴェルンは左手を天高く掲げる。裏も表も関係ねぇ。俺たちは古に生まれ、そしてイマを生きる。そうさ、創竜衆だ。そしてヴェルンの左手が地面を叩きつけるのを合図に、一斉に飛び掛る5人の竜。塵ひとつ残すんじゃねぇーぞ、殲滅だ。
ファブラが狙ったのは、メイザースではなく、その背後に浮かんでいたソロモン:フェイクキング。わかってんだろうな。問いかけた先はリヴィア。言われなくても、そうするつもりさ。そう、ふたりは言葉で指示されなくとも、戦術を理解していた。
続いてリヴィアが狙ったのも、メイザースの背後のドライバ。ヴェルンが起した大きな揺れ。その揺れに乗ったふたりが奪ったのはメイザースの一瞬の動き。そして、すかさずメイザースに弾かれたふたり。いいんだ、僕たちはこれで。あぁ、上出来だ。
ふたりが作った一瞬の隙。その隙をつき、すかさず棍棒を打ち込んだウロアス。我が命は、紅煉帝の心と共にあり。そう、その決死の攻撃が稼いだ時間。あとは、任せました。そう、ウロアスたちもまた、ヴェルンのことを心から信じていたのだった。
そして、続いたヒスイが棍を振り回して生んだ風。そんな攻撃、僕に効くとでも思ったのかな。いいや、これは攻撃なんかじゃないさ。そう、ヒスイの風が奪ったのもまた、メイザースの身体の自由。いまだ、早く押さえつけろ。波状攻撃は終わらない。
ヒスイのすぐ後ろ、ニズルは印を結んでいた。そして、ニズルが発した闇の輪が縛り付けたメイザースの身体。だから、こんなものはすぐに解けるんだって。メイザースが壊した拘束。だが、その拘束を壊すまでの時間に、すでに勝敗は決していた。