すでに始まっていたオリエンスとサマエルの死闘。けひひ。ケヒヒ。互いに発する狂気の風。その風が切り裂く身体。ねぇ、あんたらは神の力を得て、それで幸せなの。問うオリエンス。だから私は、そこがあんたらの居場所なのかって聞いてんのよ!
サマエルは問に答えることなく、ただ狂気の風を発し続ける。いくらオリエンスとはいえ、神格を植え付けられたサマエルを相手に、無事ではいられない。奪われた両足の自由。空からの攻撃を受け続けるしかないオリエンス。もし、私に翼があったら。
それなら、貸してもらえばいいよ。そんな言葉とともに、オリエンスとサマエルの間に割って入ったニミュエ。先生!?久しぶりの再会。あのとき、私は君たちを救えなかった。だから、イマくらいは先生をさせて。ほら、お友達を助けてきたんだから。
オリエンスが振り返る間もなく、オリエンスの身体は上空へ。翼くらいになら、私にだってなれるわよ。そう、オリエンスの身体を抱え、空を飛んでいたのは先の戦いで傷ついたラプラスだった。さぁ、みせてあげてよ、あなたの狂気を孕んだ風を。
友達だったふたりの少女。別たれた道。ふたりが果たした再会。気持ちいいわね。風をかきわけ、空を飛ぶ。いつかさ、また4人で遊ぼう。交した約束。それじゃあ、さっさと殺ってやろうじゃん、けひひ。こうして、新旧東魔王の戦いは幕を閉じた。
それがオマエの忠誠だってんなら、俺が正面から受けてやるよ。マハザエルと対峙したアマイモン。響き渡る獣の唸り声と無数の銃声。いつになく振られる尻尾。なんで俺、こんなに興奮しているんだろうな。そう、それはただの興奮ではなかった。
そっか、わかったよ。アマイモンは気がついた。その尻尾が興奮だけではなく、近づく死の恐怖からきていることに。怖くねぇよ、恐くねぇ!必死に奮い立たせる心。そうさ、俺の命はあいつが拾ってくれた。だから、あいつに捧げるのが筋ってやつだ。
やがて、鳴り響く音は獣の唸り声だけへ。ここにきて、弾切れなんてな。マハザエルの攻撃を受け続けるしかないアマイモン。いいさ、俺が盾になる。あいつには、一歩も近づかせねぇ。だが、否定される言葉。それが本当に、聖常王の想いなのか。
俺の主は、俺を信じて送り出してくれた。そう、アマイモンの言葉を否定したのはエジィ。そして、ひとつだけ命令されたよ、絶対に死ぬんじゃない、ってさ。いつかの路地裏での別れは、戦場での再会へ。だから、共に生きよう。そう、俺が力になる。
重火器も似合うが、こっちのほうも似合ってた。エジィが手渡したナイフ。そんなナイフを手にしたアマイモンは、重火器を捨てた。懐かしいな、あの路地裏の日々が。俺たちは必死にあがいて生きるんだ、イマの世界で幸せを掴む。レッツ、ハッピー。