ヨハンと対峙したふたつの人影。どうも、体がなまって仕方がないんだ。やっぱり俺は、教えるよりも戦場が相応しいみたいでさ。ヨハンへ銃口を突きつけたリイナ。まさか、先生と戦うなんて怖いなぁ。だが、ヨハンはいつも通りのテンションだった。
なんじゃ、コイツは。もうひとつの人影、それはイッテツだった。どうだ、感覚は取り戻したか。知らん。そんなリイナとイッテツ。ふたりは、聖人を相手に怯もうともしなかった。ワシはワシの生活を乱されたくないんじゃ。本気だすのは今回だけだ。
凄いよ、なんだかワクワクするよ。いつにもなく楽しそうな笑顔を浮かべたヨハン。それじゃ、ワトソン君、アレを頂戴。ハーイ、もちろんです。そして渡された謎のフラスコ。それじゃいっくよ、超兆丁跳殺戮型ウィルス・カタストロフィXXXだぁ!
ヨハンがばら撒いた殺戮ウィルス。すごいよね、これ、ほらほら、みんな倒れていくよ。そして魔界は毒の煙に包まれた。よかった、オマエの思考は変わってなかったみたいだな。そう笑ってみせたリイナ。スパジロー、みんなの救助は任せたからな。
そしてリイナとイッテツは、手にしていた注射を静脈へと打ち込む。これで俺たちはいつも通りに戦える。そう、リイナはこうなることを予期していた。っつか、注射は嫌じゃ。イッテツは打つフリをしていた。オマエってやつは死にたいのか馬鹿野郎。
リイナに無理矢理注射を打ち込まれたイッテツ。いつか仕返しするからな! ふたりはヨハンへ一直線に走り出す。肉弾戦とか好きじゃないんだ。僕の代わりに戦ってきてよ。ほら、ヨハン軍団のみんな! 気がつけば、無数の軍勢が生まれていた。
こんなの、聞いてないぞ。無数の軍勢を相手に体力を消耗するイッテツ。いいから、いまは数を減らすんだ。対抗するリイナ。だが、このふたりをしても、減ることのない軍勢。奪われたイッテツの身動き。そして、その危機を救ったのは少女だった。
やっと追いつきました!そう、少女ヒナギクは瞳を輝かせていた。誰だか知らんが、恩に着る。そして、再びイッテツは前線へと。見せてください、師匠の力を。こうして、イッテツとリイナは無数の軍勢を掻き分け、ヨハンの許へ辿り着いたのだった。
リイナがヨハンへと突きつけた銃口。なにか言い残すことはないか。それでもヨハンは楽しそうだった。僕たちの始祖って、とっても強いんだよ。イッテツが突きつけた剣先。それでもヨハンは楽しそうだった。死後の世界って、どうなってるのかな。
そっか、思い出した。僕は一度死んだんだった。それは聖人になる前の話。そして、ヨハンが新たに抱いた好奇心。聖人って、死んだらどうなるんだろう。ドス。転がり落ちた首。水聖人ヨハンもまた、最期のときまで自らの好奇心にだけ貪欲だった。