過去を司る女神ウルド。そう、いつだって過去は美しいのだ。人はみな、過ぎ去りし日々へと思いを馳せる。長い時が経てば経つほど、過去は美しくなる。だからこそ、過去を司る女神は光輝いていた。過去は変わらない。過去は絶対。過去は美しい。だからこそ、私に縋ればいい。与えてみせよう、美しく素敵な過去を。
過刻神ウルドが動き出したのには理由があった。刻を司るのは、私たちだけじゃなかったな。剣先が狙うのはただひとり。もうすぐ、いまの世界は終わるんだ。それは世界の決定。そして、もう一度歴史を作る。だから、邪魔をしないでくれ。そして、その言葉を否定する言葉。違うわ、私はただ終わりを観測するだけ。
未来を司る女神スクルド。そう、未来には死が待っている。それは長き刻の終わり。それを始まりと呼ぶ者もいるだろう。だが、確実に終わりは訪れ、始まりは訪れないこともある。だから私は闇を纏った。そうさ、私は終わりという未来を与えることが出来る。それは神であるあなたも例外じゃない。わかっているよね。
神界には様々な神々が暮らしている。そして、なぜその神界がラグナティアと呼ばれているのか。そう、神の中にも勝者と敗者が存在していたから。あなたの世界は、私たちに負けたのよ。未刻神スクルドが突きつけた現実。だから、私たちに従っていればいいの。刃向かうことは許されない。たとえ同じ刻神だとしても。
未来と過去の間に存在する現在という不確かな時間。存在した次の瞬間、そのイマは過去になる。だから、私は無を司る。現在を司る女神ベルダンディはそう述べた。だが、私という存在は必要とされた。刹那のために。そして、刻が歩みを止めないために。世界は終わる。終わらせる。そして、新たに始めましょう。
現刻神ベルダンディとふたりの姉妹、刻命神が一堂に会したそのとき、目の前にいたのは、かつての神々の争いの敗者であり、同じく刻を司る神だった。あなたは、また私たちの邪魔しようっていうのね。以前に現れた聖なる扉。封印された扉の君。その裏の立役者、観測神。私が観測すべき終わりは、彼らの勝利だから。
湖畔に住む妖精ヴィヴィアンぼんだぼん。竜王から傷ついた聖銃士たち十二人を受け取ったぼん。その中には、可愛い養い子もいたらしいぼん。可愛いのに、結構年齢はいってるらしいぼん。その話題は禁止らしいぼん。言う事を聞かないと、めっ、だぼん。笑顔の裏には、昔から抱えてきた悩みとかあるらしいぼーん。
わぁ、なんか知ってる顔がいるよ。決定者のひとりとして紹介されたのは神才マクスウェル。そして、彼女の翼として少し後ろで寄り添うように浮かんでいたオリジン。彼女がいるからこそ、この世界には科学が溢れ、そして発展していったんだよ。
マクスウェルの隣りにいたのは始祖リリンだった。そう、彼女が妖精と魔物の祖であれば、それは最も神に等しい存在だと言えるよ。世界の決定者になるには、十分すぎる理由さ。リリンはただ一言も発することなく、ただ目の前の事象を見つめていた。
そして、君たちは本当に運がいいね。ロキは紹介を続ける。そう、彼は創醒の聖者。近づけそうで近づけない、逃げられそうで逃げられない、その異様な佇まい。顔を曇らせたのはジャンヌとイージス。あぁ、君たちふたりのその顔が見たかったんだ。
最後にもうひとり紹介しよう。彼が例外の決定者さ。なびく金色の髪。みんなが会いたかったアーサーの登場だ。そしてアーサーは剣を天高く掲げた。俺が君たちへ、最後の決定を下そう。突き立てられた剣。あたりは金色の光に包まれたのだった。