人間たちが始めた神界への侵攻。当然、神界へもその話は伝わっていた。ただ、玉座で口を開くことなく待ち続ける聖神。その隣にいた悪戯神。ねぇ、神様になったキミは、どんな役割を持っているんだい。キミを知りたい。だから、ボクから話そうか。
かつて、世界の誕生と共に生まれた神々。それは統合世界でも例外ではなかった。幾重にも連なった世界に存在した、幾千の神々。そんな神々にはそれぞれ役割が与えられていた。太陽を司る神、海を司る神、その他多くの役割。ボクはなんだったかな。
世界に混乱が生まれる。そして、生きとし生ける者たちはみな、その混乱を乗り越える。そう、だからボクはいつもかき乱していたんだ。これは、ボクからみんなへのプレゼント。ボクみたいな存在がいたから、みんなひとつになることが出来たんだよ。
ボクは混乱を好んだ。生まれたときから、その役割を持っていた。だから、統合世界に再び生まれたときも、その役割は変わらなかった。だって、それこそが世界の決定だったんだから。だけどね、ボクはあの日から、おかしくなっちゃったみたいでさ。
聖者という完璧な存在の血を引きながら、人間という不完全な女の血を引いた存在。そう、まさにキミを知った時、体中の血が躍ったよ。こんなにも面白い生き物がいるんだ、って。だからボクはずっとキミを見ていた。それはボクの役割だったのさ。
四年に一度だけ訪れる少し特別な一日。だが、今年はその特別な日が訪れることはなかった。そして、ギンジはそのことを気にもかけていなかった。だが、彼のもとへと訪れた祝福。暦にその存在がなくとも、祝してくれる沢山の友が存在していた。