仕方ないから、仕事してやってんのよ。ヘグニが引き起こした闇の災厄。あたり一面は闇に包まれた。ありがとう、私の味方をしてくれて。その闇に乗じて、忍び寄る人影。さぁ、ここは誰にも見えない。だから、世界で一番残酷な争いを始めましょう。振り上げられた闇魔女王の大鎌。あなただけは、私が葬り去るのよ。
まさか、君が来るなんてね。無の災厄を引き起こしたヘルヴォルと対峙していたのは、長い髪をひとつに束ね、鞭を構えた女だった。彼は、偽り続ける道を選んだ。そう、偽りの王の為に。だから、代わりに私が相手になる。偽りの英雄に仕立て上げられた少年は青年になり、そして、偽りの王への道を開こうとしていた。
私は知っている。フュンフが立ち向かった暗闇。人はね、誰しもが朝に生まれ、光を授かる。やがて訪れる暗闇。だけど、その暗闇を抜けた先には光差す未来が待っているの。私たちはまだ、生まれたばかり。そして、光を授かった。そして、暗闇が訪れた。だから、私たちは一歩を踏み出す。未来への一歩を踏み出すの。
俺はすべてを否定しない。ゼクスが背負ったのは、過去の自分の生き方。だから、きっといまに通じたんだ。どんなに憎くても、辛くても、それはすべてひとつの未来へと繋がっている。だけどな、俺はあんたを否定する。視線の先に浮かぶ創無神。すべてを無に帰すだなんて、馬鹿げている。すべてに、意味があるんだ。
黄金の夜明けの果てに、焼け落ちた千年書庫。だが、大切な本だけは、タシンの腕の中にあった。やはり、いつの時代も、歴史は繰り返されるの。その呼び名は時代と共に代わりながらも、世界を統べる「王」という存在は、いつの時代も存在していた。そうよ、いつの時代も王は「偶像」でしかない。すべて、偽りなの。
均衡する風のぶつかり合い。そして、そんな均衡を崩したのもまた一筋の風。邪魔をしないで。感情を顕にしたのはヘズ。どうして、あなたがここに。戦場での再会、かつてミドリへと吹いていた向かい風は時を経て、追い風へと変わっていたのだった。
そう、いまの彼は世界の敵なんだ。オーディンの口からこぼれた言葉。そっか、やっぱり血って争えないんだね、ちょっと妬いちゃうかな。ヒカリは悲しそうに、だけど嬉しそうに笑ってみせた。それなら、やっぱり私は負けるわけにはいかないよ。